|
|
受賞者 |
: |
日本化成株式会社 |
|
受賞システム名 |
: |
販売系データウェアハウスシステム |
|
システム概要 |
: |
ユーザのデータ活用促進と負荷軽減を実現した 販売系データウェアハウスシステム |
|
活用サーバ |
: |
PCサーバ |
|
端末台数 |
: |
180台 |
|
システム稼働時期 |
: |
2002年4月 |
|
|
| |
■ 受賞のことば |
|
|
|
|
情報システム室 課長 園山 俊達 氏 |
|
|
このシステムが優秀賞を頂いたことは大変感激しており、当社にとって大きな自信となりました。現在は、引き続き生産系システムの開発に取り組んでおり、来期は会計系にまで拡張してトータルシステムとして完成させる予定です。
今回の受賞を励みに、ユーザの仮説検証の試みが爆発的に膨らんで真の意味で会社業績に貢献出来るシステムにするべく、今後も努力を続ける所存です。本当にありがとうございました。 |
|
| |
■ 組織概要 |
|
| |
■ システム開発の背景 |
|
|
日本化成株式会社は、2000年4月、ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージやグループウェアを使って、従来システムの全面刷新を行った。しかし稼働から1年後、蓄積されたデータの有効活用度に疑問を抱くようになった。ユーザがデータの抽出・加工・出力といった作業が可能な設計だったが、その作業は情報システム室か高いスキルを持ったユーザに強く依存し、データの解析から戦術立案につなげる部分で、なかなか貢献できなかった。営業マンは月1度の報告会前夜に必要な資料を揃えるのに、非常に多くの労力と時間をかけていた。
また、基幹サーバ1台でデータ活用部分も賄う設計だったため、基幹システムの利用が高まるにつれ基幹サーバの負荷は増大し、クライアント側のレスポンスは悪化していった。この基幹システムに対する不満は、通信環境で劣る拠点でより顕著にあらわれることとなった。
「そこでERPやグループウェアに蓄積されたデータを、ユーザが簡便、かつ迅速に取り出して加工できるようにしたいと考えました。さらに付随効果として、基幹サーバの負荷を減らすことを目的として、データウェアハウスの構築をはじめました。まずはユーザ数の多い販売系から、ということで2001年の10月より開発を開始しました」
まず最初に取り組んだのは、開発チームによるデータ活用要求の洗い出しだった。
すでに稼働していたBI(Business Intelligence)ツールで作られていた約50種の帳票に対し、現場に使用状況と、帳票の使い勝手に対する要望をアンケート調査した。その結果をふまえ、各拠点に「どのようなデータの活用の仕方を希望するか」をテーマにヒアリングを行った。この過程で蓄積された要望をもとに、データウェアハウスの開発がはじまった。
「当社は建築材料メーカーだけに、建築現場を回って営業します。『その現場にどういう材料が売れたか?』という情報は基幹システムで管理する一方、『どの現場に、いつ行って、どういう話をしたか?』といった営業日報的なものはグループウェアで管理していました。そこで今回のシステムは、この2つを融合させることもテーマになりました」
主な売り込み先が建築現場だけに、データには必ず建築現場の名称が必要となる。しかし、この名称の記述が入力する営業マンによってバラつきがある上に、基幹系や情報系でも微妙な違いがあった。このシステムを実現するためのポイントとなったのは、この名称入力時のばらつきを認め、システム側で無理なく関連づける「名寄せ」機能の実現にあった。 |
|
| |
■ システム構成図 |
|
| |
■ システムの特長 |
|
|
システム全体のレスポンス向上とデータウェアハウス化を達成するために、基幹システムはそのままに、その外側にPCサーバを用いたデータウェアハウスサーバを設置した。基幹システムからデータウェアハウスサーバへは夜間バッチ処理でデータを転送し、データ抽出および加工処理を行う。システム開発のポイントとなった名寄せ機能も、このサーバの重要な機能である。データウェアハウスサーバで集計されたデータは各営業マンがさまざまな切り口で売上実績などを集計できるよう、BIツールを使ってインタフェース部分を作り込んだ。営業日報をとりまとめるグループウェアも、このデータウェアハウスにデータを送信し、基幹系データとの連携資料出力に対応した。
「このシステムを使って、各営業マンはどの代理店にどんな製品が良く売れているか、また、その製品はどの現場に使われているのかといった情報を、画面上で製品をクリックすることで次々と追跡できます。紙ベースだと膨大なデータになっていたものを、各営業マンがリアルタイムに把握できるようになりました。また、別の帳票では、ある現場にどのような営業をかけたか、どこの会社の職長さんとどういった話をしたかを見ることができます。こうした情報もかつては営業マンが紙ベースで管理していたものですが、それも見たいときに参照することができます」
また、通信回線の細い地方拠点でもレスポンスが上がるよう、通信回線をフレームリレーからADSLをアクセス回線としたIP-VPN回線に改修した。そして、アプリケーションやデータをサーバ側で一括管理することで、クライアントPCへの負担軽減とTCO(Total Cost of Ownership)削減を目指している。
このシステム導入効果が最も早く見られたのが、営業マンの月報作成時間の短縮だった。月末に夜中までかかって報告会用の資料を作成していた作業が、このシステムによって作業時間は3分の1程度に減少し、報告会に精神的にも体力的にも余裕をもって臨むことができるようになったという。 |
|
| |
■ システムの将来展開 |
|
|
しかし、同社から見ると、まだこのシステムは改良の余地が多く残されていると言う。まず全体のさらなるレスポンスアップ、そして営業マンが社外からデータ活用できるよう、モバイル導入を実現させること。そして、営業日報とデータウェアハウスの連携度をさらに上げ、よりキメの細かい分析ができるツールにすることが検討されているという。
「このシステムで『どういったお客さまにどのようなアプローチをして営業を成功させたか』が、各営業マンの頭の中だけでなく、記録に残って見られる環境になりました。営業マン同士でノウハウの共有、あるいは営業戦略の仮説検証を行う場として活用していきたいと考えています。しかし、まだこのような使い方は定着していないので、かなり頻繁に全国の拠点に出張して、教育を行っています」
さらに、このシステムは当初販売系から導入され、現在は生産系にまで拡大されているが、会計系への拡張も検討されている。 |
|
| |
|
| | |