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受賞者 |
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株式会社橋本 |
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受賞システム名 |
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現場PC管理システム |
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システム概要 |
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工事現場データを集中管理するための PCシステム |
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活用サーバ |
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PCサーバ |
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端末台数 |
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130台 |
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システム稼働時期 |
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2002年4月 |
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■ 受賞のことば |
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代表取締役 副社長 阿部 清コ 氏 |
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現在の建設業界の環境では、伝統があるというだけでは生き残れません。技術力と経営力に優れた企業が生き残れると信じ、システム開発も進めて参りました。今回の受賞は導入効果を実感している最中でしたので、改めて今後も継続的な改善を図りながら運用していきたいと考えております。誠にありがとうございました。 |
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■ 組織概要 |
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■ システム開発の背景 |
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今年で創業125周年を迎える株式会社橋本は、仙台に拠点を構える建設会社だ。宮城県を中心に数々のビルや建造物を施工してきた同社だが、数年前から、工事現場事務所にPCを配置し、工事データを管理するシステムの構築を進めている。
初期のシステムは、本社に置かれたサーバに現場のPCからダイヤルアップで接続し、それらをグループウェアでまとめたものだった。工事データ管理のためのマスターファイルやプログラムの送信はすべてグループウェアで配布するシステムを作り上げたが、工事現場事務所でデータを入力するユーザ層は「高齢者」、「PCスキルが低いユーザ」、「そもそもPCの操作をしたくないユーザ」が多く、マスターファイルやプログラムの更新を促すメールを送っても無視されてしまったり、プログラムを誤って更新してしまうことが多かった。
「プログラムを入れ替えないと、最後に出る帳票の集計結果が正しくなりません。このプログラムの更新作業はグループウェア上で『1クリックで終わる』ようになっていたのですが、それすらもやってくれない。メールの開封状況を見て安心していても、メールの文章は読んでいても、添付ファイルは開いていないといったことがあり、すべての端末を同じ状態に保つことが困難な状況でした」
その結果として、出力される帳票のレイアウトが違っていたり、マスターファイルの不揃いによる集計のばらつきが多発していた。この種のミスの訂正は平均毎月1件程度発生しており、本社側の人間がデータ訂正作業を1日がかりで行うことも珍しくなかった。
また、本社から現場への工事データ送信作業や、現場から返信された工事データをサーバに登録する際にも多くの手間がかかっていた。当然、現場から送られてくるデータにも問題が潜んでいることが多い。こうしたミスは集計レベルではなく、部長レベルへ書類が回ってから発見されるケースもあり、ミスのフォローに回るマンパワーの量は無視できないものだった。
「この状況を解決しようと、最初は市販パッケージの導入で解決しようと考えましたが、常時LANで接続されていないと使えないとか、何らかのプログラムが常駐していたり、ユーザ側の操作を必要するものなどが多く、当社の環境では導入は無意味と判断しました」
20種類近くのパッケージのどれもが「最低限の操作」と「徹底的にミスを排除する機能」、そして「何度でも作業の再試行が可能」という基準を満たしていなかった。その結果が「なければ作れ」という結論を導き出す。 |
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■ システム構成図 |
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■ システムの特長 |
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こうして生まれたのが「現場PC管理システム」だ。サーバは業務データを蓄積するものとグループウェア用が1台ずつだが、現場のPCはこれらのサーバと直接やりとりは行わない。現場のPCへ送信するデータの抽出および現場から送信されたデータの書き戻しはすべて1台のサーバを通じて行われる。工事データは20MBを近いサイズとなることもあるため、データ送信の前に圧縮をかけ、トラフィックを減らす工夫をしている。最初に手がけたのは本社と現場間のデータ転送システムだったが、これはフリーウェアやシェアウェアを組み合わせることで、短期間のうちに仕上ったという。
「複数の工事現場を担当している者が使う場合、複数箇所の工事データを受信するケースがありますが、当初は『複数箇所のデータをまとめて受信したら、入力が終わったものだけ本社に送り返す』のように、機能的なものを目指して進めていました。ですが、ある時『受信したデータだけ送り返せる』というように限定したほうが、複数工事データを管理する場合にユーザの間違いを防げるのではないかと気づきました。もちろん、『押せるボタンにしか色が付かない』など、インタフェースの実装も配慮しました」
また、現場で通信回線が突然切れるといった通信中のトラブルに際しても、クライアント側に的確なメッセージを出して再度操作を促す設計にするなど、誤操作防止には格別の配慮がなされている。管理側では各クライアントの操作をすべてログで監視し、ソフトウェアのバージョンアップ作業が遅滞なく行われているかチェック可能となっている。
今回のシステムにより、工事管理用アプリケーションのデータ構造を解析することによって、該当データを直接抽出したり、置換することができるようになった。このように、パッケージソフトを補完する機能を開発することで、より使いやすいシステムに仕上げていった。
このシステム導入の効果は、それまで頻発していたミスの激減だけでなく、サポート電話のコール数減少という形で現れた。これまで本社と現場で複数の手順を追って処理されていた処理も手順が大幅に短縮され、データ入力作業の効率も大幅にアップ、結果としてミスも減り、ミスのフォローに費やされる時間も減少した。
このシステムで1か月あたり削減できる作業時間は、データの送受信操作は20時間、単純な操作ミス防止効果で20時間、そしてマスターファイルの違いなどから起こる発見困難なミスの抑止効果で10時間、合計50時間にものぼるという。 |
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■ システムの将来展開 |
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既存パッケージとフリーウェアなどを効果的に組み合わせて完成度を高めた同社のシステムだが、現在のままでは旧式化したPCを新型のPCへそのまま移行することができないという。
「現在のシステムは、やや旧式となってしまったOSの機能に依存している点が強いため、新しいOSでも動くように修正を加える予定です。改変の規模も小さいので、それほど負担にならないと考えております」
また、クライアントに配布するアプリケーションの更新は、ユーザを一切わずらわせないのが特徴だが、この更新用ファイルを作るのがやや面倒だという。今後はこうした細かい部分を改善して発展していくことだろう。 |
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