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最優秀賞 : Javaを全面採用した基幹販売・物流システム SS2000 (成和産業株式会社) |
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受賞者 |
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成和産業株式会社 |
受賞システム名 |
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SS2000 |
システム概要 |
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Javaを全面採用した基幹販売・物流システム |
活用サーバ |
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UNIXサーバ、PCサーバ |
端末台数 |
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700台 |
システム稼働時期 |
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2001年2月 |
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■ 受賞のことば |
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代表取締役 社長 高橋 英富 氏 |
「今回の基幹システム再構築は、当社の企業理念である『ヘルシーコミュニケーション』を実現し、医療現場のニーズに対して正確に、すばやく対応するという最重要課題に対する解決策になると考えています。この受賞を励みに、社員はもとより、得意先からも評価いただけるようなスピーディで合理的なビジネスモデルとなるよう成長させていきたく思います」 |
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■ 会社概要 |
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成和産業株式会社 (URL : http://www1m.mesh.ne.jp/seiwa/)
1947年に設立。中国・山陰地区を中心に、医薬品から医療機器、試薬、医療食、医療支援システムなどの総合卸販売を行っている。医療を取り巻く新分野への対応、さらには福祉介護分野をはじめとする新分野への取り組みなどを積極的に進めている。 |
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■ システム開発の背景 |
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関連会社 (株)アスペック* 取締役システム部長 本田 俊治 氏 |
成和産業株式会社は、「人々のすこやかな暮らしを願い、人々の生命と健康に貢献する」という基本理念を掲げ、「医療総合商社」として、様々な生命関連商品の安定供給・最新医療情報の提供に取り組んでいる。
同社が販売・物流管理にコンピュータを取り入れたのは、昭和47年であり、いわばコンピュータ技術の黎明期ともいえる時期である。1980年代には集中処理、90年代には分散処理と、その時代の最新技術を導入して基幹業務の最適化を図ってきた。今回受賞したシステムも、2000年代における最新技術のひとつであるJavaを全面採用した基幹販売・物流システムである。
新システム移行に際して重点が置かれたのがTCO(Total Cost of Ownership)削減だ。
これまで同社では、中国地方の22営業所にUNIXサーバを設置して負荷分散を図ってきたが、システム障害時の復旧といったトラブルによる運用負荷が増大していた。また、独自のシステム管理ツールによる運用管理を行っていたが、OSのバージョンアップやミドルウェアのバージョンアップといったシステム拡張に対応が追いつかないという問題もあった。
「デファクトスタンダードを採用することで運用コストを抑え、しかもシステムへの負荷が少ないシステムを作ろうというのが第一のポイントでした」
開発における第二のポイントが、環境の変化に影響されない開発言語の選択――つまりJavaを用いたWeb技術の採用である。
「従来採用していたGUI言語では、ツールのバージョンアップが確実に必要でした。しかし、バージョンアップすると、旧バージョンで動いていたプログラムであっても、何故か 確実に動くという保証がなくなります。ビジネスロジックはまったく変えず、GUIもほとんど変更がないにもかかわらず、一つずつプログラムを動作確認しなくてはなりません。一度動作したプログラムがどのハードウェアでもOSでも動いてほしいという私どもにとって、Java技術の“Write Once, Run Anywhere”という考え方は、まさしく求めていたものでした」
今回のシステムでは、物理的に分散されていたサーバを本社の2台のUNIXサーバに集約し、入力画面・DBアクセス・伝票出力といった販売・物流の基幹トランザクション処理はすべてJavaアプリケーションで実装。また、携帯電話を利用して在庫確認や売上データの送信が可能なモバイル環境も、あわせて導入した。さらに、一部の営業所の間では、営業所間を結ぶWAN回線を利用したVoIP(Voice over IP)技術により、通信費用も抑制できた。 |
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■ システム構成図 |
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■ システムの特長 |
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関連会社 (株)アスペック* システム部 課長 木安 寛治 氏 |
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今回の新規システムへの移行がもたらす効果としては、まず、運用負荷および通信コストの削減、加えてOS等の環境に左右されないJavaアプリケーションの資産化がある。
「集約サーバはクラスタシステムで、トラブルがあっても通常通りに稼働する構成になっています。現在トラブルはほとんど起きていませんが、これによりトラブルを復旧する時間も費用も3割以上削減することができました」
集約サーバにアクセスしての伝票出力を見ても、以前のクライアント/サーバ型と比較して、トランザクション処理の遅延はほとんどないという。
「今回、通信回線をすべて128kbpsに変更し、しかもデータを圧縮して送っていますので、レスポンスは人間がわかる程度では遅延していません。オペレータからも以前に比べて遅れていないという評価もいただいています」
しかし、Web+Javaシステム独自の機能による開発の苦労は多かったという。
まず、これまで以上の画面制御速度と操作性を実現するために、エンドユーザライクな機能とインタフェースには徹底的にこだわった。
「キーボード入力して画面が変わるまでの時間について、従来よりも速いレスポンスを目指しました。集約サーバとのデータのやりとりは、入力が終わってから次の処理をはじめるよう処理を分岐させ、トランザクションの分散化を図っています」
また、汎用機、UNIX、PCといった文字コード体系の違うシステム上でデータを処理し、漢方薬など特殊な漢字の多い同社の取扱商品を扱うため、外字に対応する必要もあり、Javaにおける日本語の扱いには特に苦労したという。
その結果、クライアントの要求による出力伝票の書式変更や、印字の停止・開始といった指示を行うことが可能な、柔軟かつ高速なシステムが実現した。WANを介して1日あたり20,000枚という大量の伝票発行にも耐えられるシステムである。 |
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■ システムの将来展開 |
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同社ではさらに、社内にいなくてもデータ送信ができるよう、モバイル環境の構築にも取り組んでいる。今後さらにこれを押し進めて、社内の電子メール環境を含めたグループウェアに統合する予定があるという。
また、これまでデータ分析するためには、各営業所からそれぞれデータを取得してサマライズする必要があったが、集約サーバの導入により、この点も改善された。
「集約サーバおよびPCサーバ用のデータベースを使って、今後は分析業務を充実させていきたい。参照系といったシステムはまだ汎用機なのですが、今回オープン系システムでこれだけのことができたので、次は情報系や参照系、分析系のシステムにも力を入れていきたいと思っています」
さらに、今回のシステム移行においては、コスト削減や業務スピードのアップといった効果だけに留まらず、最新技術に対応できるスキルを持った要員の教育という意味での効果も非常に大きいといえる。これまで同社が培ってきたCOBOLやC言語といった技術に加え、Javaを用いたオブジェクト指向のオープン系システムへの対応が可能となった。
「Javaのような最新技術の場合、どうしても技術者が首都圏に集中しがちです。しかし、早いうちから、広島の私どものような企業でもこういうシステムを構築できたということで、他社でもJavaに対してもっと積極的に対応していただけたら、輪も広がっていくと思います」
これは、古くから基幹業務にコンピュータを導入していたという歴史があり、常にそれを最適化していこうとする意識を持ち、しかも開発におけるノウハウを蓄積している同社ならではの言葉と言えるだろう。
* 株式会社アスペックは成和産業株式会社の情報システム部門が独立された会社です |
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