社団法人 電子情報技術産業協会 ミッドレンジコンピュータ・ワークステーション事業委員会 JEITA
コンピュータ・ユーザーズシステム・アワード 2000
平成11年度 ミッドレンジコンピュータ・ワークステーションに関する市場調査報告書
TOP PAGE 審査内容 受賞理由 受賞システム紹介
最優秀賞 優秀賞 優秀賞 優秀賞

優秀賞 : 業務用酒類卸売販売管理システム (中山株式会社)
■ 受賞のことば ■ システム開発の背景 ■ システム構成図 ■ システムの特長 ■ システムの将来展開
受賞者中山株式会社
受賞システム名業務用酒類卸売販売管理システム
システム概要オフィスサーバ、PCサーバによる発注・仕入管理、受注・納品伝票発行、ピッキング業務、債権・債務管理等の販売管理システム。関連3社とネットワークで結ばれている。
活用サーバPCサーバ、オフィスサーバ
端末台数23台
システム稼働時期1998年4月より順次拡張
■ 受賞のことば
中山徹雄 氏
代表取締役
中山徹雄
「このシステムは、私たちが積み重ねてきた歴史であり、苦労の結晶です。その苦労が今回の受賞で認められました。感激しております」
■ 会社概要
中山株式会社

明治37年に創業した業務用酒類および食品卸売業者。宇都宮、小山、結城、筑波研究学園都市といった北関東地区でトップクラスの売上実績を持つ。茨城県全体でも上位の優良企業で、無借金経営を継続している。三代目である現社長の中山徹雄氏は在任38年、従業員一人の時代から今日までの成長を築き上げた。
外観/オフィス
■ システム開発の背景
森山文幸 氏
管理部
部長
森山文幸
酒類の卸売業者である中山株式会社は、販売管理などの業務用コンピュータシステムを1983年から導入している。それ以前もコンピュータセンターに伝票処理を依頼するなど、コンピュータとの関わりは深い。

今回のシステム再構築は1996年から取り組んでいるが、業務処理の考え方は1983年当時から変わっていないという。

「システムに求められるニーズも複雑化していますから、新たにお金をかけて設備投資すれば改善されるのはわかります。しかし、既存の資産を最大限に活用し、減価償却以降にどれだけメリットを持たせられるか、無駄なコストをかけずにニーズをどれだけ満たすことができるか。それが課題だったのです」

ここでいうニーズとは、日々の業務の中から浮かび上がってくるあらゆる問題点――クレームの改善のことである。

「業務上の問題点や難しい点をなんとかしたいというクレームを、私たちは苦情ではなく会社を成長させる“夢”だととらえています。ですからクレームの一つひとつをすべて取り上げ、できるだけ改善していく。この繰り返しなのです」

システム自体に求められたニーズには、性能向上、コスト効果を導き出すためのパソコンと旧来のオフコンシステムとの共存、2000年問題対応、そして将来的な拡張性を見据えたデータベースのリレーショナル化などがあった。

「システムを分解すると、データ構造は縦に継ぎ足していくだけのバラバラなものだったんです。これを統一仕様のリレーショナルデータベース化しました。これによって業務スピードの向上や人員を他の業務に専念させるなどの削減効果を得ることができました」
■ システム構成図
システム構成図
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■ システムの特長
資産の徹底利用と新旧システムの共存――これが、このシステムの最大の特長である。
この特長の実現に寄与したのは、会社の規模とシステムの規模を整合させる冷静な視点からのコンセプトであった。

「会社の規模に適したシステムの規模があると思うのです。例えばリレーショナルデータベースはメインフレーム的な視点でとらえられますが、私たちの会社に大がかりなシステムを導入してもかえって使いにくい。私たちにとって十分な性能を持つリーズナブルな価格のソフトウェアを用いることで、大幅なコスト削減にもつながりました」

システム設計は自社開発によるもので、そのメリットは大きい。費用の節減のほか、トラブルシューティングや社内でのプログラミングによる機能の付加など、ニーズに対する柔軟な対応も可能となっている。

また、同社は関連会社3社とのネットワークを活用している。システム再構築以前は各社それぞれでデータを管理していたが、現在では本社での一元管理を実現している。それによって発注・受注や在庫管理などの業務効率が向上し、大幅な削減効果をもたらした。

現在最も注力しているのは、マネジメントシステムと経営分析のための資料作成であるという。

「さまざまな経営システム、例えば帳票の管理や在庫管理などは、経営層の意思判断の材料となります。こうした資料の作成に現在の作業の8割を費やしています」

■ システムの将来展開
「今後もお客さまのニーズを把握し、わが社の存在価値を得るための取り組みを続けていかなければなりません。それはすべて、どのようなシステムを構築するのかにかかってくる。そう言っても過言ではないのです」

この問題意識のもとに、さまざまな取り組みが行われている。まず今年度中には在庫および詳細なピッキングリストなどを管理するための、商品アドレス管理システムが実現するという。

また、電話やファックスで受注などの取引を可能とする双方向CTI(Computer Telephony Integration)システム、営業マンに在庫や価格、納品状況、売上、集金といった最新データを表示する情報端末を携帯させるシステムなども検討されている。

社内外のニーズを的確に把握し、システムに反映する。この体制は社内の密な連携によって生まれた。業務に精通した経営サイドとコンピュータに精通したシステム担当、そして経験豊富な実務サイド、この連携と過去の苦労の積み重ねこそが、これまでの発展、そしてこれからの発展を導き出す原動力になっているのであろう。

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