社団法人 電子情報技術産業協会 ミッドレンジコンピュータ・ワークステーション事業委員会 JEITA
コンピュータ・ユーザーズシステム・アワード 2000
平成11年度 ミッドレンジコンピュータ・ワークステーションに関する市場調査報告書
TOP PAGE 審査内容 受賞理由 受賞システム紹介
最優秀賞 優秀賞 優秀賞 優秀賞

優秀賞 : 海外生産管理システム(PREMAC)、および財務会計システム(FASCO) (日本電産コパル株式会社 塩尻事業所)
■ 受賞のことば ■ システム開発の背景 ■ システム構成図 ■ システムの特長 ■ システムの将来展開
受賞者日本電産コパル株式会社
受賞システム名海外生産管理システム(PREMAC)、および財務会計システム(FASCO)
システム概要自社開発のパソコン簡易言語により海外生産管理システムと海外会計 システムを構築。マレーシア、タイ、フィリピンで稼働している。
活用サーバPCサーバ
端末台数20台
システム稼働時期1997年8月
■ 受賞のことば
「海外システム導入にあたってはいろいろな苦労もありましたが、このシステムは社内の評価も高く、私たちも自信を持っています。この成果を広く知ってもらうという意味でも、今回の受賞を嬉しく思っております」
濱 裕幸 氏
システム部
塩尻EDPグループ責任者
次長
濱 裕幸
■ 会社概要
日本電産コパル株式会社 塩尻事業所
URL : http://www.shiojiri.ne.jp/~copal/

1949年に『株式会社コパル光機製作所』として設立。カメラのシャッターを中心に、オプトメカトロニクス関連機器の製造や部品のOEM供給を行っている。塩尻事業所では、写真現像用のミニラボシステム、電子部品実装装置やFA機器などの製造・ 加工、また今回受賞したシステムによる海外事業所のシステム支援などの仕事をしている。
外観/オフィス
■ システム開発の背景
大和 道矩 氏
業務部
総務グループ
主事
大和 道矩
日本電産コパル株式会社は、カメラのシャッターを中心とする光学電子機器、携帯電話用モータなどの電子部品、写真現像用のミニラボシステムやFA機器など、さまざまな精密機器の製造・OEM供給を行っている。

同社は1997年から海外進出を展開しており、現在はマレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの4カ所に海外事業所を保有している。今回受賞したシステムは、海外事業所の生産管理、会計、原価計算などの統合管理を目的として構築されたものである。

システムは自社開発のPCサーバシステム簡易言語で運営している。

「機能的にもランニングコストの面でも最適な生産管理パッケージ製品が見つからなかったことが自社開発を選択した一つの理由です。しかし、当時は生産管理システムを自社開発するのに最適なパソコン用開発言語がなく、COBOL風に開発できるパソコン用言語を独自に開発し、クライアント・サーバシステムを構築しました」

また、海外進出で一番の問題となる、言語の違いによる問題についても解消する必要があった。

「1994年に中国に進出したとき、画面に表示される言語を瞬時に切り替えられないか、というニーズが出てきたんです。このシステムでは、そのニーズに応えるため、日本語と英語の2種類のファイルを同時に動かし、端末上の簡単な操作で言語の切り替えができる構造になっています」

実際の開発作業はスムーズに進行したという。少人数のプロジェクトによる協力体制、またこれまで蓄積してきた生産管理用のCOBOL技術のノウハウ活用が作業効率アップに貢献している。
■ システム構成図
システム構成図
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■ システムの特長
小松啓吾 氏
システム部
塩尻EDPグループ
主事補
小松啓吾
自社開発のPCサーバシステム簡易言語による運用、そして日本語と英語の迅速な切り替えを可能にしたインタフェース――これがこのシステムの最大の特長となっている。

独自に開発されたPCサーバシステム簡易言語の論理構造体は、同社が熟知していたCOBOL技術をベースにしており、メンテナンスの容易さを実現している。また、プログラムのインタフェースには生産管理のニーズに特化したテキストベースを採用し、少ないコマンドで高速なレスポンスを得ることができる。

「現在2000を超えるプログラムがありますが、動作は非常に軽快です。プログラム本体やデータはすべてサーバに蓄積し、論理的整合性を保つ構造になっています。またOSプラットフォームに依存しない互換性も実現しています」

システム操作時の日本語/英語の画面表示切り替えは、ファンクションキーに割り当てられたコマンドを入力することで、端末ごとにスムーズに行うことができる。

生産管理においてはMRP(Manufacturing Resource Planning)による統合管理システムを運用しているが、MRPの導入には最も大きな苦労があったという。

「日別生産計画、受発注の管理、在庫管理、帳票の発行など、汎用機と同じレベルのシステムが求められました。また、日本語と英語の両方ですべてのファイルを作成する必要があり、チェック作業などが大変でしたね」

MRPの導入により、無駄な発注を抑えるためのキャンセル情報が組み込まれた。これによって在庫管理の精度が飛躍的に向上した。

「従来の先入・先出の作業と比較すると、全体の作業コストを3分の1にまで削減することができました。現地の方々にも喜ばれています」

■ システムの将来展開
現在、海外事業所とのネットワークはインターネットだけである。そのネットワーク強化が今後の課題であるといえよう。

「海外事業所で何か問題があると、メールや電話でのやりとりで解決しています。コストパフォーマンスが高まれば、リアルタイムでの在庫管理や部品製作の進度管理などが行えるようなネットワークを構築したいと考えています」

将来的な目標としては、海外標準のシステム構築があるという。

「海外事業所でのシステム導入には、海外標準をつくるという考え方で取り組んでいます。事業所ごとにバラバラな会計勘定科目を統一し、連結決算を行うことを目標としています。これは将来的に、海外で上場した場合などに活きてくる取り組みだと考えています」

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