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受賞者 |
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社団法人全日本ギフト用品協会 |
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受賞システム名 |
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Gift-Net |
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システム概要 |
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カタログと連動したWeb対応商品データベースシステム |
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活用サーバ |
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PCサーバ |
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端末台数 |
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約1,000台 |
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システム稼働時期 |
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2003年5月 |
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■ 受賞のことば |
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社団法人 全日本 ギフト用品協会 事務局長 渡辺 強 氏 |
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現在、全日本ギフト用品協会では積極的にIT化を推進しております。その矢先にJEITAコンピュータ・ユーザーズシステム・アワード2003優秀賞を受賞することが出来、感激しております。この「Gift-Net」は、ギフト業界における事務の効率化、カタログ印刷の能率化、そしてなによりも営業活動のスピードアップに繋がると思います。現在、「Gift-Net」の加入メーカー数は600社を越えましたが、この受賞を励みに更にバージョンアップを図り、今後はメーカー1,000社の入会を目指していきます。 |
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■ 組織概要 |
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社団法人全日本ギフト用品協会 (http://www.all-japan-gift.or.jp)
日本におけるギフト業界唯一の公益法人として、1987年通商産業省(現経済産業省)の設立許可を受けて設立された。
ギフト用品に関する調査研究、品質保証及び消費者サービスの推進、普及啓蒙等を行なうことにより、ギフト用品の健全な育成を図り、引いては日本経済の発展と国民生活の向上に寄与することを目的としている。 |
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■ システム開発の背景 |
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お中元やお歳暮に始まり、冠婚葬祭から小さなゴルフコンペ、街角で配られるボールペンに至るまで、ギフトや販促品が一切関与関係しない暮らしを送るのは難しい。このギフト業界には、非常に多くの業種がひしめきあい、常に新しいギフトが生み出され、そして流通していく。
このギフト業界には各社共通の悩みがあった。それはメーカーと卸問屋の間で行なわれる商品提案の形態だ。景品として配布されるボールペンを例にしても、ボールペンの種類、色、形状の違い、パッケージングの違い、名前入れの有無などの違いによって1本のボールペンが多形態の商品になる。こうした商品情報はメーカーから卸問屋へ紙ベースで伝達され、卸問屋はそのデータを元に自社システムに登録したり、カタログを制作していた。
「毎年12月頃に次年度用のカタログが出来上がるのですが、その制作期間は半年に及びます。つまり、半年前の商品を次年度用カタログに入れるため、カタログ上は新製品でも、ギフトを贈る側や貰う側にとっては新製品ではなくなってしまうのです。しかもメーカー側は問屋ごとに違う台帳に手書きしますから、担当者の手間たるや推して知るべしです。そして、問屋側でもその台帳を整理して、カタログを作る作業が待っています。紙をベースにした非効率的な情報流通がこの業界に長らく付きまとっていた問題点でした」
もちろん業界内でも意欲のあるメーカーや問屋がIT化に着手してはいたが、あくまでもその企業内レベルでのIT化にとどまっていた。そこでギフト業界の団体である全日本ギフト協会が音頭をとり、ギフト業界を横断する形の商品情報流通システムの構築に着手した。それが今回受賞対象になった「Gift-Net」である。
しかし、ギフト業界はメーカーだけで600社以上、取扱商品も飲食料品から文房具、衣類に至るまで、あらゆるものを取り扱っているため、ギフト業界標準データベースとして標準化を推進するには同協会だけでは不可能だ。
「ギフト業界最大手の卸問屋が『Gift-Net』を採用したことが、普及への強力な追い風になりました。『卸問屋最大手が採用するフォーマットなら当社でも……』とそこと取引のあるメーカーが使っていくことで、普及していきました」 |
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■ システム構成図 |
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■ システムの特長 |
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凸版印刷株式会社
Eビジネス事業部
ソフトウェア ビジネス本部
ソフトウェア ビジネス部
係長
渡辺 恭平 氏 |
凸版印刷株式会社
Eビジネス事業部
ソフトウェア ビジネス本部
ソフトウェア ビジネス部
主任
中村 智憲 氏 |
「Gift-Net」は商品情報や画像を蓄積するデータベースにWebシステムを組み合わせたものだ。まずメーカー側が自社の商品情報や画像、価格情報を入力する。一方、卸問屋側は蓄積されたデータを引き出し、自社で使うカタログ制作や社内システムのために利用する。入力側は専用の端末か、Webブラウザを使ったアプリケーション上から入力処理が行なえるうえに、卸問屋ごとに違っていたフォーマットが統一されたことで、記入の手間や記入ミス、記録紙補完スペースなどを大幅に減らすことが可能になる。コアになっているデータベースはWebブラウザからアクセスできるため、メーカーにとっては既存のPCを情報入力端末として使うことができるというメリットもある。
「しかし、この卸問屋ごとに異なる入力フォーマットをいかに統一するか、という点には半年近くの時間がかかってしまいました。さらに、メーカー側もありとあらゆる業種がありますから、こちらの対応も大変でした。例えば、インスタントコーヒーのメーカーは重量はもちろん、中に入っている瓶の容量も記載しないと意味がないと言いますが、別の業種のメーカーは、そんな物ウチでは必要ない、という。各メーカー間の合意が得られるまでが苦労の連続でした」
また、メーカーが入力する情報で重要なものの1つに値付けがある。あるメーカーがA社とB社という2つの卸問屋と取引する際に、A社とB社とで値段が違うことは珍しくない。卸問屋がデータベースを閲覧する際に、他の卸問屋向けに設定された値段のデータを見ることができないよう、機密性を保つ必要がある。この点は業界全体に「Gift-Net」を浸透させるためには必要不可欠なことである。
「現在、『Gift-Net』にアクセスするメーカーは約600社、卸問屋は9社です。『Gift-Net』に参加する卸問屋のシェアは業界の9割を占めます。ギフト業界の多くで『Gift-Net』を採用しつつあるといってもよいでしょう」
「Gift-Net」は稼働を始めてまだ間もないシステムだが、業界のデファクトスタンダードとなり得たため、滑り出しに成功したシステムといえるだろう。だがその裏には先に述べた半年にも渡るフォーマットの統一問題や、「商品詰め合わせ」という、シーズンになると箱詰めされて取引され、シーズンが終わると単品に戻されて売られるといった、ギフト業界独特の商品体系を巧みにシステムに盛り込んでいったという地道な努力がある。 |
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■ システムの将来展開 |
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しかし、「Gift-Net」を更に活用するには、まだまだ参加メーカーや問屋の数が足りないと言う。
「次はギフトチャネル以外の卸問屋の顧客にもこの『Gift-Net』を浸透させてみたいですね。ですが、日本の流通形態は複雑で、同じボールペンでもコンビニで売られたものはコンビニへ、文房具屋で売られたものは文房具屋業界にしか“売れた”という情報は伝わりません。しかし『Gift-Net』が情報の受け皿となって、そのような情報を他の業種に流す、そういう発展ができれば、と考えています」 |
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