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米国の情報機器アクセシビリティに関する法律の実態調査報告書
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2.DAISYコンソーシアム
2.1 活動の概要
従来視覚障害者が活用できる情報は、点字図書館のアナログのカセット録音図書が一番優れているが、目次や特定の情報を検索すること、あるいは単にページをめくる等が出来ない等取り扱いが不便であり、最近進歩したデジタル技術を利用して、これら膨大な録音図書をデジタル化することにより、障害者に晴眼者と同等の情報アクセスを保証することが期待されている。また録音図書を提供する図書館の側から見ると、マスターテープの劣化の進行が極めて深刻な問題で、コレクションを半永久的に保存できるデジタルメディアに速やかに転換しなければならなくなっている。マルチメディアとインターネットの標準化作業が活発に進められている今日、現在の録音図書資産を継承しつつ視覚障害者にアクセシビリティの高い利用環境を提供するためには、早急に世界標準規格を確立してデジタル化の促進を図る必要がある。この目的のため世界の主要な録音図書や電子テキスト、点字図書の制作者たちが、1996年5月に DAISY(Digital Audio-based Information System:デジタル音声情報システム) コンソーシアムを設立した。次世代のDTB(Digital Talking Book:デジタル録音図書)の制作、交換、利用の国際標準規格の作成を目指す国際共同体で、日本、スウェーデンを含む18カ国の視覚障害者と障害者のために活動する国際非営利団体で構成されている。構成メンバーのリストを付録4に示す。国境を越えて情報と資料が交換されることが当然である今日、デジタル録音図書仕様の完全な国際統一は重要である。非営利団体から成るこの共同体は、既存の国際標準を基本にしつつ、W3Cにも参加して、連携をとりながら視覚障害者が効率的に文献資料を読むための公開された標準の開発と、それら資料作成の為のソフトやハードの開発と普及を目指している。様々な困難を乗り越えてDAISYコンソーシアムが招集した1997年5月の国際デジタル録音図書仕様会議(スウェーデンの開催地Sigtunaにちなんでシグトゥーナ会議と呼ばれる)は、従来DAISYと距離を置いていたアメリカを含む国際統一仕様に向けての大きな成果を挙げた。DAISYは、国際的な視覚障害者情報提供施設の合意と費用分担によって進められており、日本の全国視覚障害者情報提供施設協議会(旧全国点字図書館協議会)は、コンソーシアムの設立メンバーであり、今も中心的な活動を行っている。またわが国の図書館では既に2,500件のDAISY資料を作成済みであり、また各県でボランティア団体によるDAISYへの変換作業が推進されている。開発もほぼ実用の域に達し、このDAISY基準が国際的に認知されて、世界的にもこの標準による図書館資料のデジタル化が各国で本年は推進される予定である。
2.2 現在進行中のプロジェクト
(1) Sigtuna プロジェクト
シグツナプロジェクトは、日本政府によって資金援助され、インターネット上でのDAISY技術の利用を目的としている。録音図書の情報はサーバの DAISYフォーマットに保存され、DAISY利用者が備えた専用のWWWブラウザーによって世界中どこからでもアクセス可能である。このプロジェクトのために開発されるソフトウェアは、録音ツールと利用者及びサーバー用ソフトウェア・モジュール、DAISY専用共通ブラウザーからなる。サーバー上の録音図書の情報はモデム接続を通してリアルタイムでの伝達を可能にするために高度に圧縮される。構造化された録音アプローチは、オンラインでの利用においても効率的な検索や読書を可能にする。シグツナプロジェクトとDAISYコンソーシアムとの契約で、シグツナプロジェクトの開発成果は、DAISYコンソーシアムへ提供されることになっている。
(2)プレクストーク再生機
日本企業プレクスター社は、新プレクストーク再生機を大量に出荷予定である。評価のための試作機として1年以上前に発表されたプレクストークは、扱いが容易で持ち運びが便利なDAISY専用録音図書再生装置である。プレクストークには2種類あり、ひとつは簡単なユーザーインターフェースを持つもの、もうひとつはより高度な読書機能が組み込まれているものである。
(3)新DAISY再生機 -"ヴィクター"
カナダのVisuAide社は、新型のDAISY共通録音図書再生装置の試作機を1998年3月、ロサンゼルスのCSUN会議で初めて公開した。"ヴィクター"と名付けられた新製品は、内部バッテリーで稼動可能な軽量の単独ユニットなので、パソコンを使わずにどこにいてもDAISY図書を読むことができる。DAISY図書再生用として現在最も有望な製品と考えられている。
(4)新再生用ソフトウェアプロジェクト -"DAISYプレイバック2000"
TPB (スウェーデン国立点字録音図書館)は、 DAISY再生用ソフトウェアの新バージョンの開発を目的とするソフトウェア開発プロジェクトを発表した。 「プレイバック2000」の名称でスタートした新ソフトウェアは、DAISY図書のパソコンを利用した再生ツールとして無料で配布される。このソフトウェアは一般的な読書に利用できるだけでなく、学生、その他の「上級読者」のために高度な機能も有している。たとえば、プレイバック 2000では録音図書素材に直接メモができる。メモはテキストあるいは音声メッセージの形式が可能である。プレイバック 2000は、32ビットのアプリケーションであり、OS Windows 95/98またはWindows NT下で動くが、もちろん本来のDAISYフォーマット、および将来のDAISY-2 フォーマットにも対応している。プレイバック 2000は、ADPCM、 MPEG や RealAudioといった音声圧縮技術によって録音された図書を扱うこともできる。プレイバック2000の第一次ベータ版は、2000春に完成する予定である。
(5)電話を利用した音声ブラウザ
1998年12月16日の東京におけるDAISYのセミナーで、プロダクティビティワークス社副社長の、マーク・ハッキネン(Markku T. Hakkinen)氏は、視覚に依存しないインターネットへのアクセス方法として、電話を利用したブラウザを紹介した。 これは「DAISY(Digital Audio-based Information System)」という、視覚障害者のために開発されたデジタル音声情報システムを利用したもの。テキストと音声をシンクロさせて統合する技術である"SMIL"を採用し、障害者にもアクセスしやすい情報提供を目指している。 こうした技術を導入した電話ナビゲーションシステムでは、電話機をツールとして、インターネットのホームページを音声でブラウズすることができるのみならず、この技術を利用すれば、視覚障害者もWWWでの情報発信が可能になる。
2.3 DAISY仕様
DAISY(デジタル音声情報システム)仕様のコンセプトは、TPB(Swedish Library of Talking Books and Braille:スウェーデン国立点字録音図書館)が、1993年7月、デジタル録音録音図書ソフトウェアの開発の為に設定した次の項目が原点である。
1) フレーズごと、またはフレーズの集まりであるセクションごとに、テキストを拾い読みする機能
2) テキストに基づいた目次の、異なった部分を検索する機能
3) 録音図書内の特定のページを検索する機能
4) 録音図書内に目印を付けたり、それを検索したりする機能
5) 録音図書内にアンダーラインを引いたり、メモを書き込んだりする機能
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DAISYは、これらの機能を持つ視覚障害者用の録音図書(Talking Book)を制作する録音・編集アプリケーション・ソフトで、現在はバージョン2で、最初に標準設定の会議が持たれたスウェーデンの町、Sigtunaに因んでソフト名はSigtuna Digital Audio Recorderと呼ばれている。W3CがHTMLからXMLへ移行するのに伴いDAISYもXML対応のバージョン3への変更が予定されている。
Sigtunaは自動的にSMILファイルとHTMLファイルを生成するので、CD録音図書のみならず、インターネット上で活用できるファイル構成になっている。本仕様は、W3Cによって定義された HTML 4.0 STRICT document type definition (DTD) を使用している。文書構造とデジタル音声データの再生を同期させるために、HTMLとともに、すでにW3Cで定義されているSMIL (Synchronized Multimedia Integration Language) で記述されたファイル、ページ間の移動や再生の制御に関連した情報を記述するファイル、NCC(Navigation Control Center)ファイルも利用する。詳しくはDAISY 録音図書標準のホームページ を参照。
現在のDAISYは、CD−ROMを配布媒体として使用しているが、今日PCマーケットで急速に発展し標準化しつつある新しい巨大容量保存媒体、DVD−ROMの採用も視野に入れて標準は作成されている。
3.NCAMのCD-ROMアクセス・プロジェクト
3.1 背景
WGBH教育財団は、ボストンのTV放送局において、メディアのアクセシビリティの改良に長い間取り組んで来た歴史がある。1971年に、WGBHは率先して難聴者のために字幕表題をつけることを実施した。また視覚障害者に対しては、1990年に、 Descriptive Video Service (DVS)を始めた。クローズドキャプションやDVSの手法は視覚障害者が画像の多い情報にアクセスする時の重要な技術になる。NCAM(The National Center for Accessible Media) はWGBH財団の1部門で、障害者、少数言語使用者など、情報サービスを享受できない人々に、アクセスが出来る手段の開発を行っており、これには50の機関や会社がビジネスパートナーとして協力している。
近年教室に導入されている教育用のマルチメディア教材は多くの画像や写真、動画等が増加し、教育効果が高まってきているが、一方アクセシビリティの面では、障害をもつ学生にはますます利用しにくくなってきている。この問題に対してNCAMは、全米科学財団(NSF:National Science Foundation)と共同で、1993年にCD-ROM Access Projectを開始した。視覚障害者を含む全ての学生が、科学および数学のマルチメディア教材を使って学習する事が出来るように、アクセシビリティの高い教育用CD-ROMの作成ガイドラインを開発し、それを普及させる事を目標としている。
3.2 プロジェクトの現状
この目標を達成する為に先ず視覚障害者の学生が現在使用している科学および数学用教材CD-ROMの有用性の評価を実施して問題点を抽出し、その評価結果に基づき、アクセシビリティのソルーションである次の二例をプロトタイプとして、元のソフトの開発者と共同でアクセシビリティの改善を実施している。方針としては、出来るだけ市販のソフトを活用する事とし、視覚障害者のための技術としてはMacromedia Director と Javaに注目している。
(1)学習用ゲーム"How the West Was One + Three x Four"
Sunburst Communications社の作成したボードゲームで、数式の学習が出来るものである。最初は音、画像ともに障害者にとってアクセスが難しいものであったが、Macromedia Director を利用し、また使用しやすくするためにWINDOWSおよびMAC共通に使える音声キーボードを新たに開発した。
(2)生物の実験用"Photosynthesis Explorer"
二番目の試作例はLOGAL社のPhotosynthesis Explorer である。生物のシミュレーション実験において、光線、湿度、温度などを変化させると植物の糖分や酸素の量が変化する状況をシミュレートして示す教育ソフトである。元のソフトに、IBM社のSystems Self-Voicing Kit for Java (SVK)を追加し、自動的に音声の説明が行えるように改造した。
以上の試験の成果を踏まえいくつかのソリューションが得られているが、それらをガイドラインにまとめる作業を現在行っており、1999年12月完成の予定である。その後、2000年1月から5月まで普及活動を実施する予定である。
3.3 ソリューションの例示
このプロジェクトにおいて、身体障害者のマルチメディアに対するアクセスを改善する手法として、JAVA、MSAA、SMIL、SAMIが推奨されている。それぞれの詳細はマイクロソフト社、IBM社などの項で説明するが、概要を以下に述べる。
(1) JAVA
JAVAのひとつのプログラムは複数のコンピュータープラットホーム(例えばWindowsおよびMAC)で動かすことが出来るので、ソフトウェア開発者にとって効率的なツールである。上記の共同研究において、JAVAの開発元であるサンマイクロシステムズとIBM社のSpecial Needs部門の共同作業によって多くの改善が行われ、アクセシビリティが向上した。
(2) MSAA (Microsoft Active Accessibility)
マイクロソフト社のアクセシビリティチームの開発したアプリケーション・インターフェースAPIである。アプリケーション・ソフトが種々のツールと効率的に協調することによってアクセシビリティ機能を実現するための技術である。MSAAによってアプリケーション開発者はアクセシビリティを犠牲にすることなく、独自のユーザーインターフェイスを開発することが可能になる。
(3) SMIL(Synchronized Media Integration Language)
音声、ビデオ部分にクローズドキャプションを付ける事が出来るマルチメディアフォーマットである。 SMILが使われているソフトにはRealPlayer G2(RealNetworks)がある。 なお、SMILはW3Cで開発されたものである。
(4) SAMI (Synchronized Accessible Media Interchange)
SAMIはマイクロソフト社が開発したもので、Windowsメディアプレーヤーに使われている音声、ビデオ部分に、クローズドキャプションを付ける事が出来る公開仕様である。 マイクロソフト社のEncarta百科事典でのクローズドキャプションに使われている。
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