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米国の情報機器アクセシビリティに関する法律の実態調査報告書
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1.W3C Webアクセシビリティ・イニシャチブ(WAI)
1.1 W3C、WAIとは
W3C (World Wide Web Consortium) は、WWW (World Wide Web) 技術に関する情報の提供をはじめ、作成された標準を実現する標準的コードの実装、新技術を応用したさまざまなプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などに取り組んでいるインターネットの標準団体である。現在260を超える組織がコンソーシアムの会員として参加しており、米国マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS) 、 フランス国立情報処理自動化研究所 (INRIA) 、日本の慶應義塾大学 SFC 研究所 (Keio-SFC) がホスト機関として共同運営に当たっている。
W3Cでは"WAI(Web Accessibility Initiative)"というグループで、Web アクセシビリティを専門に扱っている。Web アクセシビリティを広めるにはHTMLやCSSなど、Webの基準の作成が最も重要であり、ホームページ制作者、ブラウザー制作者、オーサリングツール制作者を対象にした3種類のガイドラインの作成と、作成したWebページが実際にアクセス可能かどうかをチェックするツールの開発に精力的に取り組んでいる。
Webページが、単純なハイパーテキスト(テキストと若干の画像データ)からなる場合には、視覚障害者のWebアクセスには大きな障害はない。テキストの読上げソフトなどの支援技術(AT:Assistive Technology)を利用すれば、アクセスは可能である。しかし、HTMLの規約がより高度な視覚的表現を可能にする方向で拡張され(例えば、クリッカブル・マップ)、さらにフレーム表現、JAVAアプレット、PDFなどと、各企業によって独自拡張された規約外のグラフィカルな機能が次々登場、普及するようになって、視覚障害者のWebアクセスは急速に困難になった。 WAI は、国際プログラム事務局(WAI International Program Office)を設置して、世界各国の組織と共同で、次に挙げる主な5分野の活動を通じて、障害を持つ人がWebにアクセス出来るようにするための事業を促進し、資金援助を行い、Web のアクセシビリティの向上を図る事としている。
@ Webの中心的技術が、アクセシビリティに考慮したものとなるようにするための活動。
A Webページ作成やユーザーエージェント、オーサリングツールに関するガイドラインの策定。
B Webページのアクセシビリティ評価とその向上のためのツール開発。
C Webのアクセシビリティに関する教育・啓蒙活動。
D 将来Webのアクセシビリティに影響を与える可能性がある技術の研究・開発状況についての情報収集と方向付け。
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米国政府組織および W3C 会員の業界関連企業が、このスポンサーとなっている。 例えば、米国NSF( National Science Foundation)、米国教育省のNIDRR( National Institute on Disability and Rehabilitation Research)、欧州委員会の TIDE Project、 IBM、Microsoft Corporation、 NCR Corporation、 Riverland Holding 、European Commission's DG XIII Telematics Applications Programme for Disabled and Elderly、 the Government of Canada等である。
1.2 WAIの活動概要
Webページの作成、および Webブラウザーやオーサリングツールに関する指針を定める 「WAI Accessibility Guidelines」 は、Web Contents、 User Agent、 Page Authoringの3つの文書から成り立っている。それぞれ、ワーキンググループによって策定作業が進められており、その進行状況はそれぞれのサイトで、審議の進行に伴い細かく更新されているホームページで知ることが出来る。
ワーキンググループは次の3つである。
@ Webページ制作者を対象とする [WCAG](Web Content Accessibility Guidelines Working Group)
A ブラウザー制作者を対象とする [WAI-USERAGENT] (User Agent Accessibility Guidelines Working Group )
B オーサリングツール制作者を対象とする [WAI-AUTOOLS] (Authoring Tools Guidelines Working Group )
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いずれのガイドラインも、既に草案が公開されており、作業の進行にしたがって、文書のレベルが変化し、ワーキングドラフト、勧告試案、勧告と進む。どのガイドラインも、内容構成は、ガイドライン、確認する為のチェックポイントとその優先度、それを実現する技術の詳細資料が付属しており、理解しやすく作られている。表示もリンクも丁寧に行われているので、現在の最新の状態を何時でもWAIのホームページで見る事が可能である。またアクセシビリティ標準のチェックポイントを満たすための技術、方法については[TECHNIQUES](Techniques for Web Content Accessibility Guidelines 1.0)に説明があり、HTML、CSS、SMIL、MathMLなどのサンプルも掲載されている。また、その中には文書が正しいかどうか確認する方法やテストする方法、HTMLの要素と属性別の一覧(どの方法でどれを使うか)も説明されている。これらは、技術の進歩に応じて頻繁に更新されている。
またWAI以外のW3Cの関連分野、例えば、Webの国際化やモバイル・アクセスに付いては、W3C Mobile Access Activity、W3C Internationalization Activity のホームページを、また頻繁に更新される種々のテクノロジーに対する各ブラウザーのサポート状況は [WAI-UA-SUPPORT]に整理されている。
1)Web Content Accessibility Guidelines Working Groupの活動
Webコンテントのアクセシビリティに関するガイドラインを作成している本グループは、1999年5月5日に身体障害者などにも配慮したWebの標準規格「Web Content Accessibility Guidelines 1.0」 を発表した。これはW3Cの 正式勧告である。このガイドラインは、Web上の音声やグラフィックスなどについて、別の表現方法も用意することなどを求めるもので、Webサイト管理者やWeb構築ツールベンダーなどに対し採用を呼びかけている。
コンテンツのガイドラインは次の14項目である。
@ 音声や視覚的内容に対しては同等の意味を持つテキストを提供する
A 色彩だけに依存しない
B 正しくタグ付けし、適切にスタイルシートを使う
C 使用言語を明確にし略号、外国語などは取り扱い方の情報を示す
D 適切に変換されるテーブルを作る
E 新技術を利用したページは、適切に変換される事を保証する
F 時間によって変化する内容については、ユーザーが制御できるようにする
G 組み込まれるユーザー・インターフェイスは、アクセシビリティを持ったものにする
H 装置に依存しない設計
I 暫定的な解決策をとる
J W3Cの技術とガイドラインを使用する
K 文脈前後関係や位置を表す情報を提供する
L 明確なナビゲーションのための仕組み、情報を提供する
M 文書は明瞭で簡潔なものにする
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アクセシビリティガイドラインには、すべてのガイドラインに対応してチェックポイントを優先度(プライオリティ)別に、全般、画像、マルチメディア、テーブル、フレーム、フォーム、スクリプトなど項目別にまとめた付録がついている。また各チェックポイントには、関連する技術の説明へのリンクが用意されている。このチェックリストに従いWebページの作成者は自分でページをチェックできる。チェックリストの最新版は「Checklist of Checkpoints for Web Content Accessibility Guidelines 1.0」 である。
チェックポイントは、Priority 1〜3の3段階に分けられている。「Priority 1」は必ず守らなくてはならない(must)内容で、音声や画像、アプレットなどで表現する情報についてはテキストによる表現も用意することなど16項目を求めている。 「Priority 2」は守るべき(should)内容で、色覚障害者などがWebサイトを見ても、その内容が確実に伝わるようなデザイン、色づかいなど30項目を規定している。守ることが望ましい(may)とする「Priority 3」は、携帯端末などパソコン上のWWWブラウザーに比べて機能の劣るブラウザーを使うユーザーにも、Webサイト上の情報を利用可能にするためのもので、障害者だけでなく健常者のユーザーも対象になる。 具体的には、表には要約を付けることや、クリッカブルマップにはテキストのハイパーリンクも用意すること、略語の扱いなどについて19項目を指示している。 その上で、3段階の適合度を規定している。適合度「A」は優先度1のすべてのチェックポイントに適合、適合度「Double-A」(AA)は優先度1と2のすべてのチェックポイントに適合、適合度「Triple-A」(AAA)は優先度1〜3のすべてのチェックポイントに適合するサイトであることを示す。
本ガイドラインは障害者だけでなく、その他のユーザーにとっても有益なもので、例えば、音声情報に字幕を付けるという聴覚障害者を支援するために用意された仕様は、騒音の大きい場所や逆に音を出せない場所でWebページを閲覧する場合に有効である。また、映像情報にテキストによる説明を用意するという項目は、回線速度が遅い環境や携帯端末などからの利用にも有効であるなどWeb閲覧に便利になると考えられる。しかし一方では、新しい技術を採用し、画像も豊富なポータルサイトなどは殆どこの基準を満たしていないのが現状である。
以上に概略を述べたガイドラインとチェックポイントの詳細を、付録1,2に添付する。
2)WAI User Agent Accessibility Workingの活動
このグループでは、ブラウザーやマルチメディアプレーヤの開発者に対し、障害者にも利用しやすい製品を開発するために必要なユーザー・エージェントのガイドライン「WAI Accessibility Guidelines: User Agent」 (UAGL)を作成している。このガイドラインの最初のドラフトは、1998年6月18日に公開された。そして、1999年末での最新版はW3C Working Draft の状態で、「User Agent Accessibility Guidelines 1.0」 である。
特にブラウザーのユーザーインタフェースに焦点を当てたこのガイドラインは、障害者の Web へのアクセスを保証していくための取り組みを一歩前進させるものである。本ガイドラインでは、コンテンツの提示方法の制御、閲覧中のコンテンツに関する情報取得、 Web ブラウザーの操作や制御、アクセシビリティ関連機能の制御、さまざまな技術との互換性についての指針をまとめている。さらに、アクセシビリティの向上のためには、実装することが必須である HTML 4.0 と Cascading Style Sheets Level 2 (CSS2) の重要な項目についても、このガイドラインでは触れている。このワーキンググループには、 Web ブラウザーの開発メーカーを含む産業界および障害者団体・研究組織の専門家が参加している。企業としては Microsoft Corporation、 Opera Software、 The Productivity Works, Inc.、 IBM Special Needs Systems などが含まれており、Web 関連の市場のニーズに、 Web ブラウザー開発者が対応していく上で必要となる情報が提供されている。
本ガイドラインは、 特に、WAI の活動に参加している多くの障害者団体と産業界、研究組織の共同作業による成果であり、障害者のニーズを反映したものとなっている。
ガイドラインは次の11項目である。
@ 入出力装置に依存しない設計
A 全ての内容にアクセス可能とする
B アクセシビリティが満足されない部分を止めたり飛ばしたり出来るようにする
C スタイルはユーザーが制御できるものとする
D 標準のシステムの規定、標準を守る
E アクセシビリティの説明手段を与える
F ナビゲーションのための仕組を提供する
G ブラウジングの間ユーザーがどの辺にいるかをわかる情報を提供する
H ビューポイントの変化をユーザーに注意する
I ユーザーが理解できるソフトにする
J アクセシビリティに関する情報を盛りこむ
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3)WAI Authoring Tool Accessibility Working Group の活動
このグループは、ホームページを作成するためのソフトであるオーサリングツールの開発者向けに、ガイドライン 「WAI Accessibility Guidelines: Page Authoring」を検討している。本ガイドラインは、1998年2月3日に W3C ワーキングドラフトとして公開され、その後1999年11月に発表された「Authoring Tool Accessibility Guidelines 1.0」 が、2000年2月3日に正式のガイドラインとして承認された。
オーサリングツール開発者向けの本ガイドラインでは、オーサリングツールそのものを幅広いユーザーにとって利用しやすいものにするためのユーザーインタフェースについて、またアクセシビリティの高い Web ページを自動的に作成するために必要な機能について、コンテンツの提示やブラウザーの操作、音声読み上げ等の支援技術との連携などに関する標準的な指針が示されている。これらの指針は、Microsoft社、Opera Software社などで構成されるワーキンググループによってまとめられたもので、今後、各メーカーのブラウザーに反映されることになる。
このガイドラインは次の7項目である。
@ アクセシビリティのある作成方法を提供する
A マークアップは標準的なものを生成する
B アクセシビリティのあるコンテンツを作ること
C アクセシビリティのチェックと修正手段を提供する
D ユーザーが好みのプレゼンテーションを選択できる
E ヘルプや資料でアクセシビリティが促進されるように計らう
F ツール自体が障害者にとってアクセスできる
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1.3 アクセシビリティ検査ソフト
URLを入力するとそのWebページのアクセシビリティをチェックするサイトがある。代表的なものに、ボビーチェッカ (Bobby)とアイ・チェッカー( i-Checker)がある。公開されているWebページはこれらのWeb上のソフトでアクセシビリティが確認できる。標準を満足したサイトにはロゴマークが記入され、一覧リンクに掲載されているので、これらのサイトでWAI標準合格の例を見る事が可能である。
(1)ボビーチェッカ Bobby
ボビー(Bobby version 3.1.1 )はWebページの障害者に対するアクセシビリティを分析するインターネット上のソフトで、CAST(Center for Applied Special Technology)が提供している。調査して欲しいと思うページのURLをボビーのホームページに入力することにより、ボビーはそのWebページのアクセシビリティを検査して、アクセシビリティの評価、ブラウザーの互換性を示した報告を作成する。アクセシビリティの解析はW3Cのコンテンツ・ガイドライン(W3C Web Content Accessibility Guidelines)を基準に行われる。このチェックに合格したサイトにはボビー認証のアイコンを表示する権利が与えられる。 ボビーは自動的にHTML 4.0との互換性も調査する。
(2)アイ・チェッカー(i-Checker)
作成されたWebページのアクセシビリティーをチェックするツールとしてIBMが開発してホームページ上に公開されている。BOBBYと同様、URLを入力すればそのページのアクセシビリティのチェックを行うが、診断する項目は限られている。Webページ・リーダーを使ってNetscapeブラウザ‐に表示されたWebページの内容を音声合成で読み上げる際に、もっとも問題となる以下の4項目について自動診断する。
画像リンクにコメント(alt属性)が書かれているかどうか。
タイトル情報が書かれているかどうか。
クライアントサイド・イメージマップのareaにコメント(alt属性)が書かれているかどうか。
サーバーサイド・イメージマップが使用されている場合には警告する。
上記に基づいて、i-Checkerは診断結果ページの先頭にエラーメッセージを表示し、不適切な画像や、イメージの近辺に理由の説明にリンクするアイコンが表示される。各ページにタイトル情報、ハイパーリンク付きイメージやクライアントサイド・イメージマップにコメントが書かれるようになれば、音声だけでも大変聞きやすいページになるので、Webアクセシビリティを考える第一歩として、このi-Checkerを使用することは効果があると考えられる。今後、i-checkerの自動診断機能は、利用者の意見等を織り込みバージョンアップされて行く予定である。
i-Checker は、インターネットに公開されたページのみをチェックするものであるが、パソコンやイントラネット上の作成中のHTMLファイルをチェックする用途として、Personal i-Checkerも用意されている。
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