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米国の情報機器アクセシビリティに関する法律の実態調査報告書
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3.1 法律の概要
(1)適用対象機関及び機器
米国連邦政府機関が開発,調達,保持あるいは利用する電子機器および情報技術に適用され,連邦機関で働く障害を持つ職員及び障害を持つ一般市民が、障害の無い健常者と同様に、連邦機関の情報やデータにアクセスできることを求めている。なお、この場合、特定の職員の必要性、または要請の有無に関わらず、全てをアクセス可能にすることが必要である。但し、この実現に「過大な負荷(an undue burden)」がかかる場合には,その理由を文書で明確に示した上で、何らかの代替方法を準備する必要がある。「過大な負荷」とは、ADAの「過度な困難」,255条の「容易に達成可能ではない」と同一の意味である。
(2)対象機器
対象となる機器は、正確にはアクセス委員会が2000年2月7日までに発表する標準を待たねばならないが,Clinger-Cohen法1996年で定義された機器及び情報技術と一致する見込みである。情報技術は、このClinger-Cohen法において、データあるいは情報の自動収集,貯蔵,操作,管理,移動,制御,表示,スイッチング,交換,伝送あるいは受信に使われる機器,相互接続システム,機器のサブシステムを含むと定義されている。
(3)技術標準および連邦各機関の義務
508条の技術標準は、アクセス委員会が2000年2月7日までに,教育長官,総務長官,商務長官,FCC議長,国防長官,その他の連邦機関の長,適切な研究機関,電子及び情報技術企業,障害者組織の代表と協議して作成することになっている。そして、その後の技術の進歩を考慮し,アクセス委員会は定期的にこの標準をレビューし,必要な修正を行う。
アクセス委員会が508条の標準を公布した後6ヶ月以内(すなわち2000年8月7日まで)に、連邦機関の長は関連機器の調達基準を上記の技術標準に合致するように改定しなければならない。その後も、技術標準が改訂された場合は、それに適合するように6ヶ月以内に調達基準を修正する必要がある。
(4)規則の施行
508条は1998年8月7日に成立し、有効となっているので、連邦政府の各機関は保有する全ての電子機器、および情報技術をアクセス可能にする義務がある。但し、具体的な技術標準は未定であり、また違反した場合の罰則はないので、実際の効力は無いに等しい。508条の技術標準は、2000年8月7日に発効し、この後に調達された電子機器、および情報技術のアクセシビリティに問題がある場合には、個人が連邦政府の各機関に苦情を申し立てることができるように定められている。苦情の申し立てを受けた各機関は、リハビリテーション法504条の規定に従って、それに対応する必要がある。但し、国家安全保障システムに関しては508条の適用は除外されている。
アクセシビリティに問題がある場合の規定を入れ、強制力を持たせて点が新しい508条が、従来と最も異なる点である。この規定により、障害を持つ連邦政府職員、および連邦政府の電子情報を利用する一般市民は、連邦政府各機関の調達担当者を名指しで提訴することが可能になる。また、調達時の入札に外れた民間企業は、落札者の電子機器、および情報技術のアクセシビリティに問題があるという理由で、納入業者選定のやり直しを裁判所に提訴することも可能になる。
3.2 連邦政府機関の準備状況
(1)自己評価
司法長官は、各機関の長へ1999年4月2日付けのメモランダムを作成し,508条の規定とその意義を説明するとともに、ソフトウェア,Webページ,情報の取引機器,その他の情報技術機器のアクセシビリティを自己評価して,その結果を1999年6月15日までに提出するように質問票(Component
Questionnaire)を付して送付した。司法長官は各連邦機関の自己評価結果を取りまとめ、2000年2月7日に大統領に報告することになっている。但し、2000年2月16日時点では、この報告がなされたという報道はない。
自己評価は下記に関して網羅的に調査することが求められている。
@ 調達政策と手順
A 通信機器(電話,テキスト電話(TTY),ページャー(=ポケベル)など)
B 主たるソフトウエアアプリケーション(ワードプロセッサー,スプレッドシート,データベース,グループウェア,電子メール,インタネットブラウザーなど)
C Web上のページ
D 情報の取引機器(ATM,発券機,コンピュータキオスク,電子ビルディング案内,カード支払システム,料金機など)
E その他の情報技術機器(プリンタ,ファックス,コピー機など)
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なお、司法長官は、本法の制定後3ヵ年以降,2ヵ年毎に,連邦政府機関の本法への適合状態を、障害者からの不服も含めて,大統領および議会に報告書を提出しなければならない。
(2)技術標準策定
アクセス委員会は、技術標準の検討を、その専門機関である情報技術アクセス諮問委員会(EITAAC:Electronic and Information Technology Access Advisory Committee)に委託していたが、EITAACの最終報告書が1999年5月12日に提出された。アクセス委員会は、この最終報告書をもとに標準案を作成し、公示して一般からの意見を求めた後、最終の技術標準として、2000年2月7日までに決定する予定である。2月16日現在、この技術標準は未だ発表されていない。
(3)調達方針策定
前述のように、連邦機関の長は2000年8月7日までに、関連機器の調達方針を上記の技術標準に合致するように改定しなければならない。現在、そのための検討作業が各機関にて行われている。
4.支援技術法1998年(ATA: Assistive Technology Act )
ATA法は、「障害者への技術関連支援法1988年」(Tech法)の後継法規として1998年11月に施行されたもので、各州が実施する障害者のための支援技術関連活動に対し、連邦政府が資金的に援助するものである。ここで、支援技術(AT:Assistive
Technology)とは、障害者の機能的能力を増進し,維持し、あるいは改善するために使われる装置あるいはシステムを意味する。
(1)内容
@ Title I:支援技術に対する障害を持つ個人のニーズに対応した各州の活動を維持、強化するために、連邦政府は資金を援助する。各州が推進する具体的な支援技術及びサービス関連活動に対して、連邦政府は補助金を交付する。
A Title II:連邦政府機関が実施する支援技術関連の研究開発、訓練などに対し、総合調整を行うと共に、資金を援助する。このためICDR(Interagency Committee on Disability Research)の権限を強化し、支援技術およびユニバーサルデザインも検討対象に含める。また、研究開発に関してはNIDRR(National Institute on Disability and Rehabilitation Research)および連邦の各研究部門との連携を強化する。
B Title III:支援技術の機器またはサービスの購入を希望する個人に対して、各州が小額の資金貸し付け(ローン)を行うプログラムに対して、連邦政府は補助金を交付する。
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(2)交付資金
@ Title I:各州が推進する支援技術及びサービスに対して,1999年度は総額36百万ドルの補助金を交付する。2000〜2004年度も同じレベルの補助金を交付する。
A Title II:1999年度の予算総額は、10百万ドルである。2000〜2004年度も同額の予算を予定。
B Title III:各州の障害者への資金貸し付けを援助するため,1999年は総額10百万ドルを一律および州人口と人口密度により配分して交付する。なお、各州が障害者の支援技術購入に対して、単純に交付金を提供するプログラムは対象とならない。2000〜2004年度も同額の予算を予定。
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(3)508条との関連
各州が上記の補助金を受けるためには、508条のアクセシビリティ規定を遵守していることが条件になっている。しかし、強制力に欠ける従来の508条は、連邦政府機関においても守られていなかったので、各州の508条遵守規定は有名無実なものであった。しかし、2000年8月7日以降、連邦政府機関におけるアクセシビリティ規定の施行が徹底すれば、この遵守規定を介して、各州にもその影響が及ぶと思われる。
(4)責任当局
教育省長官があたる。
5.障害を持つ個人の権利保護に関連するその他の法律
(1)リハビリテーション法1973年 501及び504条
@ 501条
連邦機関の雇用者は、障害者がその業務を遂行する上で、「過度な苦労」をしないですむような設備を準備しなければならない。
A 504条
連邦機関は、その責任として、全ての公衆がアクセスできる情報を準備しなければならない。
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(2)障害者のための通信法1982年
(TDA: Telecommunications for the Disabled Act)
障害を持つ個人が使用する補聴器を妥当な価格で改造すれば、連邦政府の内外で使われる電話に適合できることを保証するように要求している。
(3)補聴器適合法1982年(Hearing Aid Compatibility Act)
1989年8月16日以降製造あるいは輸入されるほとんど全ての電話器は補聴器適合にすべきことを定めている。また、FCCは、補聴器着用者が21世紀初頭には、有線電話に普遍的にアクセスできることを保証するための規則を検討している。
(4)通信アセシビリティ強化法1988年
(Telecommunication Accessibility Enhancement Act )
連邦政府及び議員への電話リレーシステムを規定したもので,テキスト電話(TTY)の設置を定めている。
(5)テレビジョン・デコーダ回路法1990年(Television Decoder Circuitry Act)
米国内で製造される,または米国内での使用を目的に輸入される,13インチ以上のテレビジョン受像機に,字幕(Closed Caption)を表示するためのデコーダ回路を内蔵することの義務付けと,FCCが定める標準に合致しない受像機の州間取引,製造及び輸入の禁止を定めている。
(6)税制上の優遇処置
@労務費の税金控除(Internal Revenue Code, Sec.501)
雇用者は、障害の持つ新規従業員の初年度賃金の内、6,000ドルの40%の税金控除
A障害者及び高齢者に対する建築及び交通のバリアを除くための税金控除
(Internal Revenue Code, Sec.190)
納税者が業務に関わるバリアを,アクセス委員会の協力の下で財務長官が示した標準に適合するように除去するために受けることができる。
B障害アクセス税金控除
前年度の売上が100万ドル以下あるいはフルタイムの従業員が30人以下の小企業が、ADAで定めるアクセシビリティを確保するためにかかった費用が、250ドル〜10,250ドルの範囲であれば、その50%の税金を控除できる。
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