AT製品とビジネス化に関する講演会 講演録

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第1部
アクセシビリティ標準化の動向/講師:市川 熹(あきら) 氏
千葉大学 教授(JEITAアクセシビリティ標準化対応(専)委員長)

市川氏/ただいまご紹介いただいた、千葉大学の市川です。
 今日の会場には、視覚障害の方がいますか。図の説明の仕方が変わるのですが、いらっしゃらないようですので、そのことを前提に話を進めさせていただきます。
 はじめに簡単に自己紹介をさせていただきます。
 JEITAでアクセシビリティ標準化関係の委員会の委員長を担当しています。
 私の研究は、もともと音声の研究から障害者支援の研究開発を始めました。研究室には、障害のある学生が在籍していたこともありました。また、多くの学生が自発的にボランティア活動を続けてきています。このようなことが、私がこの仕事を担当するというようなことになった背景にあります。

ITが障害者・高齢者の生活を豊かにする条件
1.障害者・高齢者利用を配慮した技術開発 
2.経済的な実現
3.製品情報のPR
4.流通体制の整備
5.支援技術者・販売員の訓練
6.障害者・高齢者の教育

 障害者と高齢者が生活を豊かにする条件は、経済性を考慮したITの利用技術の開発であろうと思います。また、流通体制の整備や、その中で販売員が障害者・高齢者のニーズを把握して障害者・高齢者に説明できることが必要だと思いますし、使う方々自身の勉強も必要です。

標準化への期待
・技術開発の目標が明確になる、
・操作方法が統一される、
・機器の相互接続が自由になる、
・マーケットが広がり、価格が下がる。

 今日は、障害者や高齢者の利用を配慮した技術開発、その経済的実現について話します。
 標準化をすることへの期待は、一つは技術開発の目標が明確になり、操作方法や機器の接続条件が一様になることです。それを通してマーケットが広がり、経済効果が上がっていきます。ビジネスという点に対しては、標準化のこのような側面から益々期待できると思います。

JIS化の効果
工業標準化法 第67条(日本工業規格の尊重)
国及び地方公共団体は、鉱工業に関する技術上の基準を定めるとき、その買入れる鉱工業製品に関する仕様を定めるときその他その事務を処理するに当たって第二条各号に掲げる事項に関し一定の準を定めるときは、日本工業規格を尊重してこれをしなければならない。

JIS化の効果
コンピュータ製品及びサービスの調達に係る総合評価落札方式の標準ガイド
(平成7年3月28日、調達関係省庁申合せ、第1各省各庁の長の定め(大蔵大臣協議済み))
政府調達の仕様はJIS規格、ISO規格、IECSLCP規格に準拠、ITU勧告に留意すること等が求められている。

 工業規格を考えていく上で、JIS化するとどういう効果があるのかについてお話します。工業標準化法67条にあるとおり、日本工業規格の尊重という条文があります。これは絶対ではなく尊重ということなのですが、私たちにとっては、JISの規格があれば政府や地方公共団体に、自分たちのしていることについて胸をはって主張しやすくなります。アメリカのような強制力はありませんが、皆で協力すれば強い力になります。

障害者・高齢者対応標準化の背景
米国リハビリテーション法501条、504条 1973
米国リハビリテーション法508 1986
EU COSTプロジェクト 1986
米国ADA(障害を持つアメリカ人法) 1990
EU TIDEプロジェクト(〜2001) 1991
障害者・高齢者等情報処理機器アクセシビリティ指針(初版)
   (通商産業省告示231)
1995.4
米国電気通信法255条 1996
米国アシスティブ・テクノロジ法 1998
障害者等電気通信設備アクセシビリティ指針
   (郵政省告示515)
1998.10
Guide71原案 提案
   (日本JISC)
2000
JIS S0011 障害者・高齢者配慮設計指針ー消費生活用品
   (凸記号など)
2000
障害者・高齢者等情報処理機器アクセシビリティ指針
   (経済産業省告示362)
2000.12
EU eEurope (障害者の電子的な参画) 2000.12
米国リハビリテーション法508条 連邦政府調達基準
                     発効
2000.12
2001.6
ISO/IEC Guide71 2001.11

 情報機器に関するアクセシビリティの規格があり、そういう機器を買うように主張すればメーカーも作る方向で検討していくこととなります。役所に納めるものだけでなく商用にも統一していこうということになれば、マーケットも広がり価格も下がってくるでしょう。このようなことが期待できるという意味でも規格は重要だと思います。

508条の影響
・米国国内法(リハ法508条基準)に従う。
ISO規格には関心無し。

508条が情報機器の非関税障壁化の恐れ

ISO規格、国内JIS規格と508条整合性重要 

 もうひとつの背景として、国際的に規格や指針を作ったり標準化したりということがあります。
リハビリテーション法508条というのが、昨年6月に米国で発効しました。これに反すると裁判に訴えることができるというものですが、これで強制力がつきました。

 これに対応した内外の動きも出てきています。508条とは米国の法律なので、当然ながらアメリカ人はこの基準にしたがってものを作ります。他の規格ではなく米国の基準でものが作られていきます。日本からも多くの製品が輸出されていますが、この基準に反している製品を購入してはならないということになると、非関税化障壁になる恐れも出てきます。
 非関税障壁化を避けるためには、日本における規格化作業は、国内外の規格が整合するように配慮しながら考えていかなければならないというところにあります。国内やISOで議論されている規格について、積極的に働きかけて508条と整合性を取っていかなくてはならないのです。

障害者の社会参加を促す
障害者の擁護、差別の排除から          
積極的な社会参加を促し、新たな労働力の創造へ

 大きな影響をあたえた508条について、簡単に紹介します。障害者の擁護や差別の排除から積極的な社会参加を促し新たな労働力へつなげていくということです。

508条の概要
1."過度の負担"が生じない限り、
 ・障害を持つ連邦政府職員の電子情報技術の利用が、障害を持たない職員と同等にできるようにする
 ・障害を持つ一般の人が、連邦政府の各省や機関が提供する情報・サービスを、障害を持たない一般の人と同等に利用できるようにする
2."過度の負担"となる場合には、
 ・可能な代替手段によって電子情報技術の利用を提供遵守しない場合に、該当機関への訴訟が可能

 学校や関連機関はこの法律に従わないとならないのですが、過度の負担となる場合は何かというと明確な判例はでていません。アクセシビリティに配慮したものを買わない場合には、従業員となるユーザが訴訟することができるのです。

調達の流れ
1.調達官が入手したいものが"基準"のどの項目にあたるかを判断
2.調達官が、入手可能か市場調査
3."基準"を満たしている部分、いない部分のチェック
4.契約担当官が売買契約で注文

 購入については、政府のある機関で働いている障害者が一人もいない場合でも、それに従って購入する必要があり、調達官が決定しています。

州政府などへの適用
アシスティブ・テクノロジ法の助成を受けている州は
リハ法508条が適用される
ほとんど全ての州が助成を受けているので、
全ての州政府機関も適用対象

 このアシスティブ・テクノロジ法は、政府以外の機関も適用されます。508条は具体的な基準が公表されていて、その基準に従って調達する必要があります。

アクセシビリティ基準
508条の遵守のための技術基準
1999年5月12日     アクセス委員会に勧告案を提出
2000年3月31日     暫定版"基準"の公開
2000年5月30日まで  パブリックコメント
2000年12月21日   最終版"基準"が公表

アクセシビリティ技術基準の概要
SubpartB 技術的な基準(製品対応)
 §1194.21 ソフトやOS
 §1194.22 Web上の情報やアプリケーション
 §1194.23 電気通信製品
 §1194.24 ビデオとマルチメディア製品
 §1194.25 内蔵製品、クローズドプロダクツ
 §1194.26 デスクトップとポータブルコンピュータ
SubpartC 機能的性能に関する標準
 §1194.31 機能的性能に関する標準
SubpartD 情報、文書、支援
 §1194.41 情報、文書、支援

 508条の一つの特徴は、ソフトウェア、内蔵品(コピー、ファックスなど)の裏でコンピュータが動いているものなどの製品対応にあります。
 技術的な基準というのは、表に示しましたように製品別に基準が設定されているのが一つの特徴となっています。例えば、ソフトウェアやOSに対しては下図のような条件があります。

ソフトウェアとOS
ソフトウェアやOSの基本要件(全12目)

例 1194.21(i)情報を伝えたり、動作を示したり、応答を要求したり視覚的な要素を際立たせる唯一の方法として配色が使われてはならない。

  視覚障害関連 6項目
  障害一般    5項目  (視覚障害を除く)
  安全性      1項目

1194.31 機能的性能に関する標準とセットで考える必要がある

Web上の情報とアプリケーション
アクセシブルなWebの提供(全16項目)
(a)-(k)の11項目は、W3C/WAIの基準(優先度1)を採用

例 1194.22(b) マルチメディア表現
   1194.22(n) 電子フォーム

  視覚障害関連  9項目
  障害一般     6項目
  安全性       1項目

 Webに対しても視覚障害がほとんどですが、同じように基準があります。
 また下図のとおり電気通信製品では、電話など聴覚障害の項目が多いのが特徴です。

電気通信製品
電話を中心とする通信機器が対象。文字によるリアルタイム会話を可能とするTTY(Tele-Typewriter)との接続性や音量の設定など(全11項目)

例 1194.23(b)音声通信機能を持つ電気通信製品は、一般的メーカ間で広く使われ、特定のメーカに依存しない全てのTTY信号をサポートしなければならない。

  聴覚障害     7項目
  視覚障害     3項目
  上肢障害     3項目(重複)キーボード
  障害一般     1項目

ビデオとマルチメディア
ビデオ、テレビ、テレビ受信機能内蔵コンピュータなどが対象。聴覚障害のためのオープン/クローズドキャプション対応等 (全5項目)

例 1194.24(c)連邦機関の使命をサポートする全ての訓練および情報提供用のビデオやマルチメディア製品は、内容の理解に必要な音声やその他の音声情報が含まれている場合、フォーマットの如何に関わらず、オープンまたはクローズドのキャプションを付けなければならない。

  聴覚障害     3項目
  視覚障害     3項目(重複)

 いろいろな基準が挙げられていますが、ビデオやマルチメディアの関係は、これから益々増えるだろうと思われます。コミュニケーション障害を中心に、6項目挙げられています。

内蔵独立型製品
複写機、ファクス、プリンタ、公共端末等が対象。
支援技術を必要としない機能、各障害に対応するタッチスクリーン、色分け等のアクセシビリティ確保を要求(全10項目)

例 1194.25(a)内蔵製品は、障害を持つエンドユーザが支援技術を付けることなく利用できなければならない。

  視覚障害     4件
  聴覚障害     1件
  肢体不自由    1件(4項目)
  障害一般     4件
  安全         1件

 例えば内蔵独立型製品について考えてみますと、紙を扱うとかいう問題では、車イスから複写機の上にものを載せ操作がしやすいかなどの話がありますし、下の方のケースに紙をいれる場合などについても、また違った側面の問題がでてきます。

デスクトップとポータブルコンピュータ
パソコンのハードウェア類が対象。順次入力、標準規格の接続端子等を要求(全4項目)

キーボード、タッチパネル、個人認証、拡張スロットやコネクタ

 デスクトップ関係はパソコン関係が中心ですが、その他にもいろいろなことについて挙げられています。ディスプレイ上の問題から視覚や聴覚なども含め、その他の支援技術関係におよんでいます。

機能に関する性能基準
全ての電子情報技術に適用され、視覚障害、聴覚障害、言語障害、肢体不自由などの障害があっても利用できる機能の提供を要求(全6項目)

例 1194.31(a) 視覚を必要としない方法を少なくとも一つ提供または支援技術をサポート

  視覚障害     2件
  聴覚障害     2件
  発話障害     1件
  肢体不自由    1件

情報・文書・支援
電子情報技術に関する情報、文書および支援に対する基準を示す(全3項目)
(a)追加料金無しに、
   製品のサポート文書を代替フォーマットの文書提供
(b)追加料金無しに、
   製品やアクセシビリティの互換性 に関する説明を代替フォーマットで提供、または他 の方法で可能にする
(c)製品のサポートサービスは、
   エンドユーザの求める手段に合わせる

 例えばサポート関係やマニュアルなどは、窓口で追加料金なしに説明してもらえるなどといったことも含めてまとめられています。

技術基準のまとめ
対象とされる障害は特に分類されてはいない

視覚障害、色覚障害、聴覚障害、発話障害、知的障害、光過敏性障害(光癲癇)、肢体不自由、であり、この中には加齢や一時的障害によるものも含まれる。

 全67項目
  視覚障害関連     30項目
  聴覚障害関連    13項目
  肢体不自由関連  13項目
  障害一般共通    21項目(一部重複)

"基準"は視覚障害への対応がかなり中心

 508条では、製品別に記述されていて全体で67項目の基準が規定されています。もちろん障害者も参加していて、予定よりも時間をかけて細かく作られています。
 米国では、508条を基に、北米のカナダやメキシコとも共通に施行していこうという呼びかけをしているようです。

欧州における標準化体制

 これに対して、ヨーロッパでも基準を作る動きがあります。ヨーロッパではEUのなかに、欧州の標準化協議会があって、その中にいくつかの標準化の組織があります。ITUは通信関係、国連の中の下部組織で、国際電気連合といいます。日本ではTTCという組織がありますね。電気関係ではIEC、情報関係ではISOに関連してCENという組織があります。
 標準化に関する組織は19カ国で存在します。その下にISSSがあって情報化社会に関連した情報を扱っています。
 日本は縦割りになっていますが、ヨーロッパでもやはり縦割りです。気になるのは34とか19カ国で同じように行われている為、ISOで議論する時に、票の数にともない影響力も大きくなるということです。

ISO TC159/SC4 Ergonomics of human-system interaction
WG1 Fundamental of control and signalling methods
WG2 Visual display requirements
WG3 Control, workplace and environmental requirements
WG4 Task requirements

WG5 Software ergonomics and human-computer dialogues 
TS16071 Ergonomics of human-system interaction
      -Guidance on accessibility for human-computer interface
  電子情報技術産業協会(JEITA),日本人間工学会参加

WG6 Human centred design process for interactive system
WG7 Ergonomics design of control centres

 ISOの中では、人間工学の部門で、WGの5番目でアクセシビリティに関するガイダンスを作ろうということをやっております。ここにはヨーロッパのグループも入っており、いろいろな事を決める時には、どうしても国の数からもヨーロッパ関連グループの影響が大きくなってしまいますが、日本からもJEITAや人間工学会の関係者が代表として参加しています

ISO TS16071
人とシステムの
インタラクション
ソフトウェア
アクセシビリティの 
指針

検討の経緯

 ISOTS16071というのは、人間がコンピュータを使う時の指針を示すものですが、アメリカの団体や、WebのW3Cの中のWAIという組織、北欧のアクセシビリティ指針、日本の指針などが提出されていて協議されています。日本からも意見を出してISOの規格と欧米や日本の規格で整合が取れるようにしていこうという話になっています。これを実施していくとISOの規格になっていくのです。

ISO TS16071
目的

 ・高齢者・障害者にも「効率性」、「有効性」、「満足度」提供 

 ・支援機器の追加の必要性低減

 ・高齢者・障害者対応のコスト追加不要化

 ・一般ユーザにも利点

 16071の目的は、高齢者や障害者に効率的で有効性、満足性が高いものを提供しようというものですが、なるべく汎用的なものを考えていこう、特別にコストをかけなくても良いものを考えていこう、高齢者や障害者だけでなく一般の人々にも、より良いものを考えていこう、そのような規格ができないだろうか、という事に関して議論がされています。
 年に数回、この委員会でワーキンググループが開かれていて、日本からも積極的に参加しています。

ISO TS16071
現在日本から提起中の主な問題点

 ・ハードを含めた全体的視点を持つ規格が必要 

 ・アジアの言語表現能力への配慮追加を (2バイト語の必要性)

 今、日本から問題点として指摘していることは、全体的にソフトウェア中心の議論がされているが、実際に使う立場からいうと、ハードを含めてシステム全体でアクセシビリティが検討されてないといけないのではないか、システムとして考えなくてはならないのではないか、と言ったことについて主張をしています。
 もうひとつ、欧米諸国はアルファベットだけなので、ひとつの文字コードで済むのですが、日本には漢字があります。もちろん日本だけでなく韓国のハングルなど1バイトだけでなく2バイトの情報も扱えないといけないアジア圏があります。このようなことを含め国際的に整合性のあるものにしていくよう積極的に発言し、また問題提起をしていくこととしています。

日本のアクセシビリティ関連標準化構成概要 2003年

 海外ではいろいろありますが、国内はどうなっているのでしょうか。
 先ほど、セクターガイドラインの話をしましたが、規格は、この分野では3つの階層で考えられています。
 1つは、アクセシビリティに配慮した規格を作る時に何を考えなくてはならないかということですが、それがガイド71です。まずはこのことが必要ですね。
 これは日本の提案がもとになっています。JISの中では、障害者や高齢者配慮の機器に、このようなことを配慮しながら作って下さいと謳っています。
 例えば視覚障害はここで困っていますよ、またお年寄りにはこうゆうことを考えて下さい。などという注意事項について記述してあります。基本となる憲法に近いもの、それがガイド71です。
 これについては、規格協会で日本版を作成しています。
 ISOに対しては人間工学会やJEITAが中心となって窓口を作っていますが、国内で足並みをそろえ統一的な活動をしようということで、中心メンバーを集めて検討を始めています。ここでは、バリアフリー委員会やリハビリ工学協会の方々も参加して情報交換を行い、日本として足並みをそろえてISOとかITUに働きかけていく動きが始まっています。

アクセシビリティ基準策定体制

 関連の業界ごとにグループをつくり、それぞれに規格を作っていく、それをセクターと呼びます。
 例えば日常生活用品に絡んだセクターといえばいろいろありますが、我々が関連している情報機器に関して説明させていただくとすれば、日本規格協会に情報バリアフリー委員会という委員会があります。ここでは、情報通信関係の共通のベースとなる規格が考えられています。この委員会で私たちは、主にパソコンを中心として参加しています。
 それから事務機械工業会関連ではファクスやコピー機に関して、またソフトウェア関連や通信業界なども参加してバリアフリーに関してお互いに情報交換して共通のセクターガイドラインを作っています。
 今、ガイドラインの叩き台ができていてバリアフリー委員会の中でホームページを設け、皆さんからの意見を求めています。
 さらに、セクターガイドラインのもとで個別製品ごとのガイドラインを作っていこうとしています。

情報通信アクセシビリティ標準体系例
1.基本規格(全体ガイド) 指針作成のガイド JIS化中
   (JIS S0001)高齢者・障害者のニーズの配慮に関するガイド
             (ISO/IEC Guide71)

2.共通規格(セクター規格) 業界のガイドライン
   JIS S0012 高齢者・障害者配慮設計指針−消費生活用品の操作性   
   JIS S0021 高齢者・障害者配慮設計指針−包装・容器
   JIS C9102 家電製品の操作性に関する設計指針−
   JIS X???? 高齢者・障害者配慮設計指針−情報通信機器・サービス
             (仮題) (日本規格協会INSTACで作成中)

3.個別規格(製品分野の特性を考慮した具体的詳細な解決策の業界基準)
   JIS S0011 障害者・高齢者配慮設計指針−消費生活用品   
   JIS S0022 高齢者・障害者配慮設計指針−包装・容器−開封生試験方法
   JIS X???? 高齢者・障害者配慮設計指針−情報通信機器(仮題)
             (電子情報技術産業協会JEITAで作成中)
   JIS X???? 高齢者・障害者配慮設計指針−サービス(仮題)
             (日本規格協会INSTACで作成中)
   JIS X???? 高齢者・障害者配慮設計指針−ソフト(仮題)
             (JISAで検討中、ISO/IEC16071TS参照)

 セクターガイドラインに関しては、情報通信機器関係の組織として日本規格協会の中にINSTACというのがあります。ここの情報技術標準化研究センターでは経済産業省や総務省から援助を受け、電気通信アクセス協議会やJEITAなどからも代表者が集まり、セクターガイドラインの大枠をまとめつつあります。
 具体的な例でいうと、ガイド71に相当するのが、JISのS001というものですが、高齢者や障害者のニーズに答える規格類の作成指針として、年度内にガイド71が公表される段階まできています。高齢者障害者配慮設計指針などもまとまりつつあります。また、Web関係についてもいろいろと議論がされている最中です

高齢者・障害者配慮設計指針
−情報通信機器・PC−
(仮題)
電子情報技術産業協会JEITAで作成中

情報機器アクセシビリティ規格作成方針
(1)インタフェースの機能面から規定。
(2)国際的整合性に配慮。
(3)漢字の取り扱いに配慮。
(4)直接操作性にかかわるものを具体的に。
(5)同一機能のハードウェア、ソフトウェア何れにも対応できる記述。
(6)将来技術に対する考慮。
(7)データ構造や使用コード系の公開を原則。
(8)コンテンツのありかたに考慮。
(9)規格本体と解説の構成。
   規格本体は理念と定性的機能レベル記述中心 解説に定量的・具体的記述
(10)製品分野別の非整合を防止。
(11)知的所有権等に責任を有しない。

 次に、JEITAでは、どのようなものが作成中であるのかについて少しお話します。いろいろ議論されていてるところで、どうまとめていけば一番良い方法なのか、まさに議論の真最中なのです。
 我々の考え方では、様々な機器がある中で新しい機器への対応はどうするべきであるのか、また障害についても多様な中で障害関係の視点から規格にしていくというのは、すべてを網羅するのが難しくなっていくのではないのかなど、検討を進めてきました。機器とユーザとの間でインターフェースの機能から共通のものを作り出し規格にすることで、将来の様々な展開に対して柔軟性があるように考えていかなければならない。入出力といったまとめ方をしていけば、コンピュータやファックスとの共通の面がでてくるだろう。国際的な整合性を考えていかないといけないので、漢字2バイト語についても考えなければならない。などこれらの課題をきるだけ具体的にしていきたいと考えています。
 ハードやソフトの問題などいついても、業界の中で当たり前だった常識が、技術の進歩で日々変わっていきますから、従来ハードでやってきたことをソフトで実現するとか、ソフトやハードで分けずに機能で表現することが大切ではないのかというように考えております。これから益々将来的なものも考えていかなければならないし、またデータやコード系の公開についても考えていかなければならないと思います。
難しい問題もありますが、機器やソフトウェアの規格が確保されても、その中の情報を高齢者や障害者がちゃんと掴めるのかといったことまで、つぎからつぎへと解決していかなければならない問題が出てきます。中でもコンテンツの問題は大きいと思います。
 コンテンツのあり方など、今はまだ学問的にも明確なものがないので苦慮していますが、技術の進歩を考慮して、規格の本体を考え、理念的に書き、解説の内容を具体的にして、それを満足できればその規格を満足するというふうに、2段構えで考えています。解説では明瞭に具体的に書いて、技術の進歩によって改訂していくという方法を考えています。
 それから、通信機器やコンピュータで使い方が違っているものをできるだけ整合がとれるようにしたいと思います。知的所有権や特許権の問題にしてもこの規格に満足しているから知的所有権に対して問題ないとまではちょっと言えないと思います。規格を作る上で保障するのが難しいので、現状を把握しながら進めていきたいと思います。

情報通信機器アクセシビリティ規格作成イメージ図

 図についてざっと全体の構成をいうと、左側にネットワーク、真ん中に機器があって、右側に高齢者および障害者となります。機器とユーザとの間の部分についてはコンピューターに限らず内蔵機器、通信機器などとできるだけ統一された規格を考えていきたいと思っています。バリアフリー委員会にも提出して、別の業界の方たちとも話し合いを行い、共通に整合性を取れるようにしていきたいと思っています。コンピュータについてだけではなくて他の機器についても共通性を確保するための議論を進めたていきたいと考えています。

高齢者・障害者配慮設計指針
−情報通信機器
(項目暫定案)
序文
 1.適用範囲
 2.引用規格
 3.定義
 4.一般的原則
 5.出力機能
 6.入力機能
 7.コンテンツ
 8.ネットワーク・通信
 9.装置構造
10.サポート

 そのためには、どうすれば良いのか。
 毎日のように構成が変わっていくのですが、この資料は2週間位前の段階です。5番目の出力、6番目の入力、およびコンテンツ、通信関連とか装置関係の構造を考えなくてはならないし、またサポートなどについても検討を進めています。

障害者対応技術の視点
1.障害毎に対応する方法を持たせる
2.ユニバーサルデザイン
3.障害者個人毎に適応する変換デバイス

 障害者対応の技術では、障害ごとに対応するか、あるいはユニバーサルデザインといっていろいろな障害に対応する考え方とするか、それに対し個人別に対応する変換デバイスを使うということもあります。

ユニバーサルデザイン
特別の改造や特殊の設計をせずに、すべての人が、可能なかぎり最大限まで利用できるように配慮された、製品や環境のデザイン。

ユニバーサルデザイン
7原則
 1.公平な利用
 2.利用における柔軟性
 3.単純で直感的な利用法
 4.解かり易い情報
 5.間違いに対する寛大さ
 6.軽い身体的負担
 7.接近や利用に容易なサイズ

 最初の障害別に対応というのが現状での標準化のベースですが、それに対してユニバーサルデザインはいろんな人が使えるように配慮したものという意味です。これができると非常に望ましく嬉しいですね。
 すべて同じ機能であるというのは難しい、そう思うとユニバーサルデザインは難しいので、一般の機器に対して変換デバイスを使いながらいろいろな機器を使えるようにしていけば良いという考え方があります。アメリカでも、そういう考え方からの標準化が進められているようです。そのひとつに環境制御装置などが挙げられましょう。

障害者対応技術の視点
1.障害毎に対応する方法を持たせる
2.ユニバーサルデザイン
3.障害者個人毎に適応する変換デバイス
 
 →組み合わせと選択 

 技術の視点として、1つの機能でできるのかという問題がありますが、この3つの方向をそれぞれに進化させていき、適切な組み合わせを行って利用できれば良いのではないかと思っています。
 現在のこういう分野での国内外の事情をご説明しました。

障害者個人毎に適応する変換デバイス

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