PDM(製品情報管理)

 企業の競争力を向上させる手法としてサプライチェーン・マネジメントが注目されているが、製造業におけるサプライチェーン・マネジメント実現のかなめとして注目されているのがPDM(Product Data Management/製品情報管理)である。
 PDMは、自動車や家電などの設計図や部品表などのデータをコンピュータで管理するソフトウェアのことを指す。サプライチェーン・マネジメントは、設計から生産、資材調達、販売といった企業の一連の活動の全体最適を図る手法である。その流れのなかで、PDMは設計を中心に生産、資材調達などにかかわる機能をサポートする。いわば、サプライチェーンにおける重要な要素の1つと言える。そのために近年、PDMに対する関心が高まっている。
 PDM普及の背景にはCADの普及がある。製造業ではCADが普及し、1人1台が普通のこととなっている。一方で、CADが普及することによる弊害も生じている。それは進捗管理の問題である。以前のように紙ベースで設計を行っていたときには、設計者ごとにどこまで進んでいるかが容易に把握できたが、コンピュータで設計をするようになると進捗管理が困難になってきた。一般にCADが10台を超えると、どのコンピュータにどんな図面が存在しているかを把握することが困難になると言われている。
 市場の動向に応じて設計変更が度々行われることも珍らしくないが、設計変更を行うには、どこのコンピュータに最新バージョンの設計図があるかを管理しておくことが重要である。これはアドレス管理機能と呼ばれる。DMは、このような設計図の図面を管理することが基本機能である。
 また、PDMには設計作業のプロセス管理機能も用意されている。設計の承認など設計業務に関するワークフロー機能が提供され、設計プロセスの標準化を実現することができる。
 さらに、部品管理機能もPDMの重要な機能である。この部品管理機能を利用することによって部品の選定や代替部品の選択、ベンダの選定などを迅速に行うことが可能になる。
 最近のPDM機能として注目されるのは、他の機能や社外との連携機能である。例えば、部品管理機能では資材部門との連携がある。部品コストを削減することは製品コストの削減につながる。部品コストを削減するためには部品の共用化が有効である。そこで、資材部門が共用を推進する部品をリストアップした部品データベースとPDMを連動させ、設計者が部品を選択するときに共用部品リストを見て選択する仕組みを作れば、低コスト部品の選定が簡単に行える。PDMがない場合は分厚い部品表から部品を選択するという作業になるから、作業スピードの面でもメリットは大きい。
 また、部品メーカへの発注という外部との連携でも効果を発揮する。この機能は設計EDIと呼ばれる。部品メーカに発注する際には、設計図とともに見積もり依頼書や仕様書のやりとりが必要になる。紙べースの書類では伝達速度が遅い。インターネットなどのネットワークを使用して設計図や書類を伝達すれば伝達速度を飛躍的に向上させることが可能になる。また、設計変更が起きてもすぐに最新バージョンの設計図を迅速に伝えることができる。部品メーカへの発注では、こうした設計図や文書のやりとりに時間がかかっており、PDMを利用したドキュメントのネットワーク化によって作業時間を3分の1に短縮することが可能になると言われている。
 PDMは従来、大型コンピュータ上で稼働するものが多かったが、最近ではクライアント/サーバ型のPDM製品が登場してきている。また、操作もWebブラウザで利用できるようになっており、インターネットを通じたEDI(Electronic Data Interchange/電子データ交換)に対応している。(K)