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組込み系ソフトウェア開発の課題分析と提言 (平成18年度ソフトウェアに関する調査報告書 概要U) |
| 1.調査検討方法 | ||||
ソフトウェア事業基盤専門委員会では、 昨年度の活動成果をベースに2006年6月第1次欧州調査を実施。 その成果を受けて、2006年10月下旬、組込み系ソフトウェアの品質問題に焦点を絞った アンケート調査を当協会の関連委員会の参加企業96社を対象に実施し、 32社・59プロジェクトからの回答を得た。アンケート調査は、 品質の計測と管理の仕組みとしての「品質施策」と、ソフトウェアの大規模化、 多機種開発、システム化を見据えた品質確保のための開発プロセスとしての「品質プロセス」に 関する現状と今後の方向性に関する設問(計73問)で構成され、 得られた59プロジェクトの回答に対して、分析・検討を実施した。 さらに、その中間分析結果を基に2006年11月第2次欧州調査を行い、 欧州における「品質施策」「品質プロセス」に関する先進事例等の調査・意見交換等を実施した。 | ||||
| 2.課題分析と今後の方向性・課題 | ||||
| 2.1 | 品質施策 | |||
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組込み系ソフトウェア開発で、大規模化や短納期化、複数機種を並行開発する多機種開発等の環境変化が進行する中、
それらに対する品質施策の具体的な課題を抽出し、それを前提にしてアンケート調査を実施し、
その分析結果や委員の知見から提言を行った。 課題としては、品質計測を始めとする各種の品質施策で、上記の環境変化に対応できていないことが挙げられ、 調査は、品質施策において重要である品質計測について重点的に行うことにした。具体的な調査項目としては、 品質計測の方法やその計測対象、計測コストとその効果、具体的な計測ツール、計測者などの項目を調査した。 さらに、最初に挙げた課題認識そのものやこれらに対する品質施策やその対応方法について調査を行った。 この調査結果の分析から、品質施策は今までの下流工程重視から上流工程重視へ移行しつつあることが分かった。 しかし一方で、現時点では品質計測は下流工程中心であり、リスク対策を目的として一定のコストを掛けているが、 品質施策は生産性向上施策と連携していないことが分かった。また、仕様変更の計測はプロジェクトの半数以下で、 品質との関係を重視していないことが分かった。さらに、水平展開などを始めとする多機種開発に対する施策が 弱いことが分かった。 次に、品質施策で使うツールはコードメトリクスツールやプロジェクト管理ツール、 構成版数管理ツールの使用が多いことが分かった。さらに、コストを意識しテスト項目数の削減を実施しており、 またコーディング標準を始めとする各種の標準化の重要性が認識されており、 外部委託先との共有が進んでいることも分かった。 このように品質施策は、大規模化、短納期化、多機種開発に対応しようと取り組む新たなステップを 踏み始めた段階である。 | ||||
| 2.2 | 品質プロセス | |||
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品質施策と同様に、上記の環境変化に対する品質プロセスに関する具体的な課題を抽出し、
アンケート調査を実施しその調査結果の分析を行って、提言を纏めた。 課題は、上記の環境変化に十分に対応できていないと思われる「ソフトウェア開発の大規模化」「多機種開発」 「システム化と擦り合わせ」の3つに焦点を絞り、それらの観点からの開発現場における実態や ソフトウェアエンジニアリングへの取り組み状況などに関する項目を調査した。この調査結果の分析から、 以下のようなことが分かった。 「ソフトウェア開発の大規模化」に関しては、着実に進行している大規模化に対応すべき開発体制や開発プロセス、 開発手法の整備が追いついていない現状がある。設計の文書化/モデル化を行い、上流工程重視の方向であるが、 テスト工程に費やす工数が大きいことからも、上流工程重視が実際に機能しているかは更なる深堀りが必要。 また、大規模ソフトウェア開発では不可欠なソフトウェア全体を統括する仕組みが弱く、 人を介したコミュニケーションが中心であり、開発手法として定式化されていない実態が見て取れる。 「多機種開発」に関しては、多機種開発が避けて通れなくなっているものの、 従来型のウォーターフォールプロセスの採用が多く、もはや実態に合わないプロセスを、現場開発者が適時、 工夫変更しながら開発を続けている。また、プロダクトラインエンジニアリングという体系的な技法には期待は大きいが、 本格的な導入はこれからという状況。 「システム化と擦り合わせ」に関しては、ハードウェア仕様決定が開発の後半にずれ込み、 その仕様はハードウェア技術者が決めており、さらに、ハードウェアとソフトウェア双方に関わる活動の計画策定と 管理もハードウェアが主導している状況にある。ソフトウェアがもっと主体性を発揮し、 ソフトウェア開発を配慮した形のハードウェアとソフトウェアの統合開発プロセス・開発方法論が必要となっている。 このような状況の中で、品質プロセスは、大規模化、短納期化、多機種開発、 システム化の諸課題に対する本質的な解決策を求め、より上流工程における施策に重点を移そうとしている段階である。 | ||||
| 3.今後の取り組みへの提言 | ||||
| 3.1 | 品質施策に関する提言 | |||
| (1) | コストと効果を考慮した品質施策:効果に見合ったコストで 品質施策を実施する。明確なゴールを設定して効果を検証しながら実施する。 そのためには、規模に応じたツールの積極的な利用を行う。 | |||
| (2) | ソフトウェア開発の上流工程へのシフト:品質施策は、 効果が大きい上流工程へシフトする。また上流工程での品質の定量化とその計測及び分析が 重要である。 | |||
| (3) | 多機種開発への適用:多機種開発を前提として、 各プロジェクトへの水平展開を促進するツールを利用する。 | |||
| (4) | 品質関連標準化の共有:品質施策に関する手法やツールは、
費用対効果の面からも外部委託先と共有する | |||
| 3.2 | 品質プロセスに関する提言 | |||
| (1) | 大規模化に適合する開発プロセスの事例収集と周知展開の仕組み: 各プロジェクトで実践されている大規模化を取り扱う事例を、 アーキテクチャ見直しによるモジュール化ソフトウェアの再利用性向上の先行事例とともに 収集し、ベストプラクティスなどの知識化を行い、それを周知する仕掛けが必要である。 | |||
| (2) | 多機種開発を考慮した工学的な開発プロセスの研究:これからの開発プロセスとして、 アーキテクチャやプロダクトラインエンジニアリングを研究し、日本の実情に沿う形で実用化へ発展させる研究を行う。 | |||
| (3) | 日本の強みと弱みを意識した方向性の提示と共有:日本の強みとしての擦り合わせ技術を ブレークダウンし、強みの源泉を明確にして、それをリアクティブなものからプロアクティブなものに進化させる。 同時に、弱みであるトップダウンアプローチをモデル化することによって、それらを取り入れていき、 アーキテクチャを中心としたトップダウンアプローチと、確実なものづくりである擦り合せ技術とを融合し、 日本の国際競争力のさらなる向上を目指す。 (4) アーキテクトの育成が急務:全体を俯瞰したアーキテクチャを構築し、 それを技術者に伝達するアーキテクトの役割がキーとなる。アーキテクトの位置付けを明確にし、 育成プログラムを整備して、戦略的にアーキテクトの育成をする時期に来ている。 | |||