JEITA HOME
平成14年1月16日

一般社団法人 電子情報技術産業協会
インダストリ・システム部

ウイスカにご注意ください


 最近、亜鉛ウイスカがコンピュータ機器等に悪影響を与えるケースが発生しており、ご注意をお願いいたします。
 この現象は、亜鉛のヒゲ状結晶(導電性を持ったウイスカ)が何らかの原因で床下からコンピュータ室内に浮遊してコンピュータ機器の中に入り込み、プリント基板や端子部分で電気的短絡が発生することにより生じる問題です。短絡する場所により、現れる現象が異なるために発生原因の特定が難しく、一過性の障害として処理されてしまうことが特徴であり、原因究明に時間がかかります。
 事例として、コンピュータ室内の電気メッキを施した床パネル、ストリンガー、支柱、耐震用平鋼等に発生し、これが飛散し悪影響を与えた例があります。
 この現象は、亜鉛以外の金属(錫等)でも導電性を持つウイスカが発生し、同様の故障の原因になることが確認されていることも、併せてお知らせいたします。


【ウイスカの発生する場所】 コンピュータ室内においては、電気亜鉛メッキを施した床パネル、ストリンガー、支柱、耐震用平鋼等に発生する。
【発生するメカニズム】 電気メッキを施した場合、メッキ処理後2年以上経過すると電気メッキした部材の中に残っている応力(残留応力)により金属の分子が押し出され、ヒゲ状に押し出され成長していくものです。
【ウイスカの形状等】 ウイスカの太さは約2ミクロン、長さは2〜3ミリ前後まで成長することが確認されております。


 コンピュータ室内においては、床パネル、ストリンガー、支柱、耐震用平鋼等に電気亜鉛メッキが使用されている部材を選択することは避けて下さい。
 また、選択にあたっては十分検討をし、将来のリスク回避を検討する必要があることもお知らせいたします。


   《 ご 参 考 》

 コンピュータ室内におけるウイスカ対策
  1. [ 床パネル(フリーアクセス床パネル) ]
    1. 電気亜鉛メッキ処理が施されているパネル使用の場合は、電気亜鉛メッキが施されていない床パネル(例:アルミダイキャスト製床パネル)に交換する。
    2. 床パネルの清掃(ウイスカを飛散させない等の養生が必要)があるが、この対処方法では2年に1回周期の清掃が必要。

  2. [ 床支柱 ]
    電気亜鉛メッキが施されている支柱の場合、その表面にウイスカが発生している場合がある。その場合は、支柱の表面を何らかの方法で囲う(例:難燃性プラスチック製の筒等で覆い被う)等の対策が必要となる。

  3. [ ストリンガーまたは耐震用平鋼 ]
    ウイスカが発生した場合は、難燃性プラスチック等の部材で両側から挟みこんで対応する等の対策が必要。

  4. 根本的対策としては、コンピュータ室内には電気亜鉛メッキを施した部材は使用しない。

  5. パネルや支柱などの部材に塗装を施すことも考えられるが、ウイスカが塗膜を破って成長するため効果は期待できないと共に、塗装の際に使用する溶剤によるコンピュータ機器への悪影響も心配されるので、塗装による対策は採用すべきでない。


 【 参 考 写 真 】

※ 亜鉛のウイスカが発生している。


本件に関するお問い合わせ先 TEL:03-5218-1057


(C)Copyright JEITA,2002